日本腰痛学会雑誌
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会陰痛を主訴とする仙骨神経障害の病態の解明に向けて
─仙骨神経障害症候群─
高野 正博
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2005 年 11 巻 1 号 p. 186-192

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抄録

従来,仙骨痛,仙尾関節痛,尾骨痛などと言われる慢性疼痛の症状があった.しかしよく診察すると陰部神経に沿って圧痛ある硬結を触れ,この痛みの部位と性質は患者の訴えと一致することが分かった.この中には肛門括約不全の症例が多く肛門内圧も有意に低下し,また排便障害の症例も多く,直腸肛門機能障害がみられる.加えて過敏性腸症候群様の腹部症状もみられる.以上,直腸肛門痛,括約不全,排便障害,腹部症状を四症状とし,仙骨神経障害をもととするsyndromeがあることが分かり,これを仙骨神経障害症候群と名づけた.これら四徴のお互いの合併率は50~90%で,さらには腰椎の症状や治療歴も高率で,MRIでも腰椎病変を60%に認める.治療としてはバイオフィードバックを含む保存療法と理学療法の組み合せにより,症状の消失が32%,軽減が44%,計76%に効果が得られている.今後,この症候群のさらなる病態の解明が必要とされる.

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© 2005 日本腰痛学会
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