日本腰痛学会雑誌
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椎間板楔状化を伴う腰部脊柱管狭窄症に対する固定術の是非に関する検討
大鳥 精司山下 正臣井上 玄古志 貴和山内 かづ代伊藤 俊紀鈴木 宗貴渡辺 朋子守屋 秀繁高橋 和久
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2007 年 13 巻 1 号 p. 121-126

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抄録

側方すべりを伴わない椎間板楔状化を伴う腰部脊柱管狭窄症に椎弓切除術群と固定術を併用した群の比較検討を行った.脊柱管狭窄症に対し連続して行った椎弓切除術群(13例)と,連続する固定術(12例)を対象とした.術式の選択は症状や画像評価によらず,初めの連続する13例は椎弓切除術のみ,後の連続する12例は固定術を選択した.症例はレントゲン単純仰臥位正面像にて1椎間の5°以上の椎間板楔状化がある症例で,側方すべり2 mm以内とした.術前,経過観察時の臨床成績,側方すべり(mm,正面像),左右屈にての可動角度(°,正面像)を評価した.結果,全症例の術後JOAスコアは23.2点と改善したが,固定術群の方が有意に改善していた.その理由として,成績不良例は椎弓切除群に3例認められ,側方すべり距離は術前0から術後2 mmに,左右屈にての椎間可動角度は術前平均12°から術後14.6°となっていた.術前,左右屈にての椎間可動角度が10°以上の症例で,成績不良であった.これら3例に関しては再固定術を追加し,良好な成績を得た.椎間板楔状化を伴う脊柱管狭窄症ではX線正面左右屈像において椎間可動角度が10°以上は成績が悪く,病態に,除圧術後の椎間板楔状化の悪化が神経症状を惹起していることが考えられた.

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© 2007 日本腰痛学会
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