日本腰痛学会雑誌
Online ISSN : 1882-1863
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特別企画 腰部脊柱管狭窄症の病態
腰部脊柱管狭窄症診断における下肢刺激体性感覚誘発電位Lp電位潜時の意義
今野 俊介宮本 雅史元文 芳和青木 孝文劉 新宇伊藤 博元
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キーワード: 電気診断, 病態生理, 馬尾
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2008 年 14 巻 1 号 p. 28-33

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抄録
間欠性跛行を主訴とする混合型または馬尾型の症状を有する腰部脊柱管狭窄症手術例41例(L群)と腰部や末梢神経に障害がない頸髄症症例54例(C群)に対して脛骨神経刺激体性感覚誘発電位検査を施行した.胸腰椎移行部棘突起上で記録され,S1仙髄後角が起源とされるLp電位はL群のうち37例,C群52例で記録可能であり,その頂点潜時はL群で遅延していた.Lp電位潜時と身長との間には正の相関があったが,Lp電位潜時と年齢との間には相関がみられなかった.身長とLp電位潜時を説明変数に用いた判別分析で両群は有意に鑑別され,その敏感度は72%,特異度は80%であった.Lp電位潜時が遅延していることは脊柱管狭窄症の馬尾神経障害を反映していると考えられ,Lp電位潜時と身長とを考慮することにより馬尾の機能障害を無侵襲で客観的に評価することが可能であり,腰部脊柱管狭窄症の機能診断の指標として有用になると考えた.
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© 2008 日本腰痛学会
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