日本腰痛学会雑誌
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特別企画 腰部脊柱管狭窄症の病態
腰部脊柱管狭窄に下肢虚血を合併した間欠跛行に対する腰部神経根ブロックの有用性
鳥畠 康充
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2008 年 14 巻 1 号 p. 40-44

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抄録
腰椎神経根ブロック(RB)には神経根への炎症鎮静·血流増加作用に加えて,下肢の血行を改善する作用がある.そこで,腰部脊柱管狭窄(LCS)に下肢虚血を合併した間欠跛行に対しRBが有用であるかを検討した.独自の診断基準に合致した合併型間欠跛行患者23例(男性22·女性1,平均年齢75.6歳)において,サーモグラフィーを用いてRB前後の皮膚温度を測定したところ,RB前28.9±2.6℃,RB後31.4±2.5℃で平均2.5℃有意に上昇した.RB後の治療法は,保存的治療:15例(65%),血管手術:6例(27%),腰椎手術:1例(4%),腰椎·血管バイパス手術両者施行1例(4%)であった.保存的治療群(n=15)において,間欠跛行距離は治療前242±153m,治療3カ月後350±285mで有意に延長したが,ABIに有意な変化はなかった.合併型間欠跛行の保存的治療においてRBは有用と思われた.
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© 2008 日本腰痛学会
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