日本腰痛学会雑誌
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〔特集〕骨粗鬆症と腰痛
骨粗鬆症患者の椎体圧迫骨折,脊柱変形とADL低下の関連
森 諭史
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2002 年 8 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

骨粗鬆症女性患者101名の脊椎X線撮影を行い脊柱変形と椎体圧迫骨折数と生活体力の関連について検討した.円背群の圧迫骨折数は非円背群より多かったが,円背がなくても圧迫骨折のある例,圧迫骨折がなくても円背のある例が存在した.円背群は非円背群に比べて腰椎前弯角が高く,起居動作能力は低下していた.円背があり腰椎前弯がない群の圧迫骨折数は他の群より多く,仙骨が腰椎前弯あり群より後傾し,生活体力では腰椎前弯あり群より起居・歩行動作能力が低下していた.圧迫骨折のある円背群の生活体力が最も低かった.圧迫骨折により生活体力は低下するがそれに円背を伴うと生活体力はさらに低下していた.立位姿勢は,胸椎後弯が増強すると腰椎の前弯が増強し,さらに進行すると全後弯となり,骨盤後傾と膝関節の屈曲で姿勢を保持する.筋力が十分でないと姿勢保持は破綻し,杖などの補助具が必要となる.今回の検討では姿勢保持の代償アークが大きくなるほどADLの低下が著しかった.

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© 2002 日本腰痛学会
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