日本腰痛学会雑誌
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[特集]腰部脊柱管狭窄症の保存療法とその適応
腰部脊柱管狭窄症に対する物理療法・体操療法
高橋  啓介
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2003 年 9 巻 1 号 p. 68-73

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抄録

腰部脊柱管狭窄症に対する物理療法および体操療法については科学的検証がなされておらず,その効果については明らかではない.しかしながら,整形外科の日常診療において,物理療法は腰椎疾患に対する重要な治療手段である.骨盤間欠牽引療法は狭窄そのものに対する効果は期待できないが,腰痛などの改善が期待できる場合がある.施行する際には牽引方向に注意する必要がある.末梢神経電気刺激療法は神経根の血流を増加させ,一過性ではあるが間欠跛行の軽快が期待できる.腹筋や背筋の筋力増強運動は運動中に狭窄部に強い圧迫力が生じるため本症には勧められない.物理療法は,本症の病態からみると,狭窄に対する根本治療とはならず症状の緩和が目的となる.今後,物理療法の科学的検証が必要で,日本腰痛学会の主導のもと,大規模研究が行われることを期待する.

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© 2003 日本腰痛学会
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