抄録
腰痛の分節不安定性が慢性腰痛の原因として想定されているが, その症候, X線所見については明確でない.慢性腰痛患者のX線所見に不安定性を示す特徴的所見が存在するかどうかを知る目的で, 1988年のある期間に外来受診した患者の5年後の予後調査で慢性腰痛群26例と急性腰痛群30例を選び, その2群間に以下の10項目のX線所見に出現頻度に差があるかどうかを調べた.椎間腔狭小 (P=0.001), Traction Spur (P=0.01), 椎間腔楔状化 (p=0.03), 側彎 (p=0.02) は有意に慢性腰痛群に多く, Claw Spur, たり (前方, 後方, 側方), 椎間腔後方開大, 終板下骨硬化には有意な差がみられなかった.前4項目のX線所見は腰椎不安定性を示す特徴的所見の可能性がある.