抄録
腰部神経根症に対する鍼治療の効果を明らかにするために, 外来で鍼治療を行った症例を集積し, JOAスコアなどを用いて評価した.22症例 (平均37.8歳) が集積され, MRI検査が行われた13例すべてにおいてdiscのprotrusionまたはbulgingが認められたことから, 症例の大半は腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症であると思われた.15例 (68%) において自覚症状および日常生活動作が改善し, 16例 (73%) において治療直後の鎮痛効果が認められた.一方, JOAスコアの改善率は, 知覚 (21%) や筋力 (32%) において低かった.また鎮痛効果のない症例は年齢が高い傾向があった.今回の検討から, 腰部神経根症に対する鍼治療は, 疼痛やしびれ感など自覚症状の改善に相対的に優れていることがわかった.