日本養豚学会誌
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原著
豚の閉鎖育種集団における経済的価値に基づく総合育種価選抜の有効性
三角 久志中塩屋 正志堀之内 正次郎岩切 正芳中田 雄二
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2009 年 46 巻 3 号 p. 135-143

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抄録

ランドレース種の閉鎖育種集団において,繁殖形質と産肉形質を改良形質とした選抜試験を行い,第5世代までの結果を得た。選抜形質は,一日増体量(DG),背脂肪厚(BF),総産子数(TNB)および離乳時総体重(LW)とし,BLUP法アニマルモデルで育種価を予測し,経営試算から得られた経済的重み付けにより算出した総合育種価を用いて選抜した。
第5世代におけるDG, BF, TNBおよびLWの平均表型価はそれぞれ956g, 1.79cm, 11.8頭および55.3kgであった。第5世代における総合育種価は+54,000円(内訳DG ; 33,980円,BF ; 0円,TNB ; 12,840円,LW ; 7,220円)となり,収益性改善が期待できる遺伝的改良効果が得られた。DG, BF, TNBおよびLWの平均育種価は+115g, 0cm, +0.40頭および+3.3kgとなり,繁殖および産肉能力の双方で順調な改良効果が得られた。これらの結果は,経済的価値による総合育種価に基づく選抜の有効性を示すものである。

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© 2009 日本養豚学会
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