日本養豚学会誌
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原著
産歴の多い繁殖雌豚の分娩前後にL-カルニチンを短期給与することが母豚の体重変化および子豚の成長に及ぼす影響
池田 周平佐藤 光夫渡辺 直久王堂 哲祐森 誠司
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2012 年 49 巻 2 号 p. 31-37

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抄録

分娩歴が 6産以上の雌豚に分娩 2週間前から離乳時まで L-カルニチンを毎食給与し,母豚の体重変化ならびに子豚の成長等に及ぼす影響を 2産連続で観察し,L-カルニチンの給与効果について検討した。農場で利用している繁殖豚用の市販配合飼料を,分娩前は 1日 2回朝,夕の給与とし,分娩後は 1日 3回朝,昼,夕に給与し,飲水は自由とした。試験区には分娩予定の2週間前から離乳時まで L-カルニチンを 50 ppm 添加して給与した。試験開始時,分娩時,離乳時,離乳 1カ月後等に母豚の体重,背脂肪厚,子豚の体重測定を行い,これら値の変動を算出し,比較した。母豚の成績は試験区で高くなる傾向が認められたが,有意な差は対照区との間で認められなかった。L-カルニチンの給与は母豚の分娩や哺乳活動によるエネルギー消費において脂質の利用効率が改善され,背脂肪消費が少なくなることを示唆した。また,子豚の成長に関してはこれまでの試験と同様に L-カルニチンの給与で高まることが示された。

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