日本養豚学会誌
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原著
付着部材を利用したふん尿分離豚舎汚水からのリン回収
川村 英輔田邊 眞高田 陽室田 佳昭白石 昭彦高柳 典弘鶴橋 亨鈴木 一好西村 修
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2012 年 49 巻 3 号 p. 117-127

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抄録

反応槽下部からの曝気により pH を調整し,反応槽内に浸積させたステンレス製の付着部材表面に MAP を成長させて結晶状のリンを回収した。使用した付着部材は,直径と高さが異なる 4種類のステンレス製の網カゴを 4重にしたものを用いた。ふん尿分離豚舎汚水及びふん尿分離豚舎汚水を脱水機にて脱水処理した脱水ろ液を供試した。
 豚舎汚水を用いた場合,リン結晶化率は,平均で 66%を示し,結晶化リン量あたり回収リン量(リン回収効率)は,平均で 8.2%となった。一方,脱水ろ液を用いた場合,リン結晶化率は,平均で 83%を示し,リン回収効率は,平均で 26.7%となった。また,両汚水の付着部材へのリン負荷量を 2.0 kg/m2 とした場合,豚舎汚水は0.7∼0.9 kg/m2,脱水ろ液は 3.0 kg/m2 の MAP が回収可能であった。これは,付着部材表面積を拡大したことと豚舎汚水を脱水処理することで SS が低減し,pH の上昇度合いが高まり,リン結晶化率が改善し付着部材表面での結晶成長が促進されたことによるものと考えられた。

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© 2012 日本養豚学会
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