液状ビール酵母を肥育豚に給与し,発育,枝肉及び肉質成績に与える影響を調査した。供試豚はWLD12頭を用い,1群は雌,去勢雄各1頭の計2頭とし,対照区及び酵母区の2試験区3反復を設けた。各飼料は風乾物換算時に粗蛋白15%,TDN75%を充足するように設計し,乾物割合が22%となるように加水した。対照区の飼料には主な蛋白源として大豆粕を配合したが,酵母区の飼料には大豆粕を配合せず液状ビール酵母を15%配合した。各飼料を体重80〜115kgの間給与し,発育,枝肉及び肉質を調査した。さらに,各試験区1頭ずつの胸最長筋を加熱調理し,官能評価試験を実施した。発育成績,枝肉成績及び官能評価試験については,いずれの項目も有意な差は見られなかった。肉質については,酵母区で,皮下脂肪内層の脂肪融点が有意に上昇し,C18:2及びC18:3割合の有意な減少が認められた。以上の結果から,液状ビール酵母は養豚飼料としての利用可能性が示唆された。