日本養豚研究会誌
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豚の発情に関する研究
IV 豚の初発情発現時期の検討
丸山 淳一井口 元夫宮原 強
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1977 年 14 巻 2 号 p. 72-77

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抄録

雌豚の初発情発現時期を検討するために, 卵巣, 卵管子宮, 子宮頸管, 膣および膣前庭等の各生殖器官を解剖組織学的に調査した。
供試豚はランドレース種214頭, 大ヨークシャー種12頭, ハンプシャー種8頭, デュロック種5頭および交雑種96頭である。
1. 初発情発現前 (生後170~180日令, 体重90~95kg) ランドレース種の各生殖器官の相関関係において, 卵巣重量は他の生殖器官とに有意な相関関係が認められなかった。卵胞の大きさでは卵管, 子宮, 子宮頸管および膣前庭等との間に有意な相関関係が認められた。
2. 初発情発現前の豚の各生殖器官の発育状態において生後日令区分では子宮, 子宮頸管および膣重量等が生後190~200日令頃から急速な増大が見られた。体重区分では子宮頸管および膣重量が体重110kg頃から急速な増大が見られた。
3. 初発情発現時の各生殖器官の変化について, 初発情発現前と比較すると, 前卵胞期では変化がなく, 後卵胞期は子宮および子宮頸管重量が2倍に増大し, 排卵期では子宮重量が約6倍, 他の生殖器官が約2倍に増大していた。黄体期と排卵期との各生殖器官重量の比較では卵巣が黄体期に増大しているが, 他の生殖器官は黄体期に減少している。
4. 雌豚の初発情発現期について, 生後日令区分では170日令頃から初発情発現が開始し, 10日間を経るごとに約10%発現率が増加した。生後250日令頃には約90%の初発情発現が見られた。体重区分では85kg時より初発情発現が開始し, 5kg増体ごとに約8~10%発現率が増加した。体重130kg時には90%以上の初発情発現が見られた。

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