わが国で開発された超音波技術を利用して, 豚生体のロース断面積と脂肪層を測定し, 作図上の諸問題を調べると同時に, 枝肉実測値との相関関係, 撮影条件などについて検討した。
試験には体重およそ90kgのランドレース70頭を用い, 体長の中間を測定した。撮影方法は生体内に超音波を照射し, その反射をブラウン管に写し, ポラロイド・カメラで撮影した。撮影はと殺前日におこない, 直ちに作図して, と殺放冷48時間経過した同部位と比較した。
その結果
1 記録写真からロース境界を決定する主要部位は, 次の5個所と考えられた。
(1) 背中心線
(2) 第3脂肪層
(3) 背中心線に面した境界
(4) 肋骨上面
(5) 背腸肋筋と外側境界
なお, (3) については背中心線から3.8mm間隔をおいた平行線と横突間筋の上部から35度で背中心線に交又する, 二本の補助線を用いた。
2 超音波測定値と枝肉実測値との相関は, r=0.935で, 1%水準で有意であった。
3 1の (3) の条件を, 5.8mmの平行線と21度の交又線に変更し, 新らた面作図をおこなった。その場合, 枝肉実測値との相関は, r=0.954 (P<0.01) で, 2の結果よりやや高い値が得られた。
4 超音波による測定値の精度は極めて高く, 生体のままでロース面積が推定できることが明らかになった。
5 脂肪層の厚さの相関は, r=0.861 (P<0.01) であった。
6 超音波の音速は, 赤肉・1740m/s, 脂肪・1450m/sが適正と考えられた。周波数は, 2MHzによる映像が明確であった。
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