日本養豚研究会誌
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交配後に行なう雌の能力による切断選抜と交配した両性平均能力による切断選抜との選抜差に関する比較
豚の閉鎖群育種の一事例に関する検討
西田 朗仁昌寺 博伊藤 菁
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1977 年 14 巻 3 号 p. 125-132

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抄録

豚の閉鎖群育種において, 一定の集団の大きさを維持するには, 危険を見越して必要な数よりも多くの交配を行なっておかなければならない。普通, 交配後に余分となった雌豚を淘汰することとなるが, その際の選抜基準が雌だけの能力である場合と, 交配された雄との平均能力である場合とで, 選抜差にどの程度の差が生じるかを一事例について検討した。
作図による検討と数値積分, 逐次近似法による検討の結果, この事例において, 無作為および非相似交配を行なうときには, 交配された雄との平均能力による選抜が雌だけの能力による選抜に比較して世代当り能力の標準偏差の3~5%大きな選抜差をもたらすことが明らかになった。この差は毎世代累積されて大きくなるものであり, 選抜基準を雌だけの能力から交配された両性平均能力へと変更するために必要な作業は, 容易なものであるから, この変更は意義があると言えよう。附随的に, 世代当り遺伝的改良量を大きくするという点に限れば, 相似交配が他の交配法よりもはるかに優れていることが, 明らかになった。

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