日本養豚研究会誌
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超音波ドップラー法による豚の妊娠診断について
丹羽 太左衛門佐藤 正一佐藤 鉄郎
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1977 年 14 巻 3 号 p. 133-140

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抄録
豚の妊娠を早期に判定することは, 子豚の生産, 妊豚の飼養管理等の上からもきわめて重要なことである。本研究は豚の妊娠診断をなるべく的確かつ簡易に行なうことを目的として, 日本製超音波 Doppler phone を用いて実験を行ない, 次の如き結果を得た。
1) 妊娠初期においては, 胎児DSは母豚後肢の内側付根付近で聴取されやすく, 妊娠の進行に伴いより前方で聴取されるようになる。
2) 超音波 Doppler 法による妊娠診断の適中率は, 交配後22~29日で80%, 30~39日で62%,40~49日で77%, 50日以降では90~100%であった。なお, 最も早く妊娠診断をし得たのは妊娠27日のものであった。
3) 胎児心拍数は, 妊娠初期には240回/分前後であるが, 妊娠の進行と共に若干減少の傾向がある。母体拍動数は, 胎児心拍数の約半分である。妊期による差は顕著でない。
4) 胎児DS検出時間は, 約5秒から10分の間で, 熟練すれば測定開始後1~2分で第1音が聴取できる。
以上の結果から, 本法は, 野外での豚の妊娠診断法, 特に早期妊娠診断法としてきわめて有効であると思われる。
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