日本養豚研究会誌
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繁殖豚の体格に関する試験
I. 育成後期の飼料給与水準が雌豚の体格と繁殖性に及ぼす影響
糟谷 泰阿部 登梶野 清二
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1979 年 16 巻 1 号 p. 22-30

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抄録

育成後期 (体重90kg~フラッシング開始) の飼料給与水準が雌豚の体格と繁殖性にどのような影響を与えるかを調査する目的で, ランドレース種8腹から雌2頭づつを供試し, 体重90kgまでは直接検定法にしたがって育成し, その後, フラッシングを開始するまでの約3ヵ月間を, 検定飼料2.2kg/日給与する区 (2.2kg区) と1.6kg/日給与する区 (1.6kg区) に各腹から1頭づつを配分した。交配後は当場の一般雌豚と同様に飼養した。
1. 90kg到達は平均173日令と若干遅れる傾向にあったが, これは放飼における運動および外気温の影響と判断された。
2. 90kgからフラッシング開始までの規定量を給与した期間における1日平均増体重, 飼料要求率は, いずれも2.2kg区が1.6kg区より有意に (P<0.01) すぐれていた。
3. 初発情および交配の日令に処理間の差はなかったが, 体重については, 初発情, 交配時ともに2.2kg区が1.6kg区より有意に (P<0.01) 重かった。一方, 90kgから交配時までの飼料消費量は, 1.6kg区が2.2kg区より有意に (P<0.01) 少なかった。
4. 7~10ヵ月令体重では2.2kg区が1.6kg区より有意に重かったが, 11ヵ月令体重には有意な差が認められず, 又, 初産離乳時には, 平均値にもほとんど差がなかった。体尺値については, 体長の8~12ヵ月令, 胸囲の8~11ヵ月令, 胸深の8ヵ月令に有意な差がみられた。
5. 初産次に14腹 (2.2kg区で7腹, 1.6kg区で7腹), 2産次に13腹 (7腹, 6腹), 3産次に13腹 (6腹, 7腹) が正常に分娩, 哺育された。いずれの産次においても, 分娩頭数, 生産頭数, 育成頭数ばかりでなく, 生時, 2週令および5週令の子豚平均体重にも処理間に有意な差がみられなかった。

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