日本養豚研究会誌
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16 巻, 1 号
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  • I. 牛初乳の保存方法と初生豚への効果および子豚用人工哺育機の開発について
    高橋 明, 阿部 恒夫, 森地 敏樹, 前田 昭二, 姫野 健太郎, 中野 正吾
    1979 年 16 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    初生豚育成用の代用初乳として, ホ種乳牛の分娩後2日以内の初乳を, 自然〓酵法とチーズ・スターター〓酵法についての保存比較試験と, これらを給与する人工哺育器の開発, そしてそれらの育成試験を行ない, その間に牛初乳中のγ-グロブリン (IgG), および血清蛋白が子豚の血中への移行について調査し, およそ下記の結果がえられた。
    (1) 牛初乳を15℃で自然〓酵させたものは, グラム陽性菌が支配的となり, 2~4日目で大腸菌群が著しく増殖するので, これを給与する場合は十分な注意が望まれる。
    (2) スターター添加区は, 乳酸球菌が終始圧倒的支配となり, とくに大腸菌の増殖が抑制されるが, 4日以上の保存は冷蔵を要する。
    (3) 抗生物質 (オーレオマイシン) 添加区は, 最初の1~2日以内は細菌の増殖抽制効果は認められるが, それ以後は大腸菌群やグラム陰性菌が著しく増進するので, 初生豚に給与することは適当でない。
    本報の成績は, Tompson & Marth9) の報告と, 全般的によく一致している。
    (4) 創案の子豚用人工哺育加機による育成は, 自然〓酵区は4~5日齢頃から下痢の発生が多く, 3週齢頃2までは自然哺育のものがすぐれているが, スターター添加区は至って健康的で, 4週齢以後は各区もほとんど差が認とめられず, 5週齢における体重は, 自然哺乳区8.4kg, 自然〓酵区とスターター添加区はともに8.1kgであった。
    しかし, スターター添加区の3頭は, 33~38日齢で神経症状を呈して死亡した。牛〓酵初乳両区の育成率は92.5%であった。
    (5) 牛初乳の給与による, IgG (牛) の子豚血中への移行量は, 母豚からのIgG (豚) 移行量の1/5~1/2レベルで, 約2週間子豚血清中に存在することを確認した。
    また, 牛初乳中のIgGは〓酵処理および保存による影響は少ないことが認められた。
    以上の結果から, 牛初乳の初生豚に対する給与は, 発育, または感染防禦に役立つことはかなり期待できるが, 今後も引続いて実験を累積していく計画である。
  • III. 筋線維の太さ, 筋束の太さおよび筋束内筋線維数について
    川井田 博, 原田 満弘, 福元 守衛, 宮内 泰千代, 楠元 薩男, 加香 芳孝, 小島 正秋
    1979 年 16 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    鹿児島県畜産試験場養豚部で育成された, 鹿児島バークジャー (去勢11頭, 雌8頭), 大ヨークシャー (去勢6頭, 雌6頭) の計31頭の供試豚より得られた胸最長筋31検体・大腿二頭筋31検体の供試筋肉について, 前報と同様に組織学的に筋線維の太さ, 筋束の太さおよび筋束内筋線維数を品種別, 性別, と殺時体重別に比較するために前報と同じ手順方法で組織標本を作製したのち顕微鏡下で観察計測して検討した。
    筋線維の太さを品種別にみる時, 胸最長筋, 大腿二頭筋とも鹿児島バークシャーが大ヨークシャーに比べて細いという結果が得られた。また, 性別についてみると, 大腿二頭筋において両品種とも雌が去勢に比べて太いという結果が得られた。一方と殺体重別では, 大腿二頭筋における鹿児島バークシャーを除いた両筋肉において, 体重の増加とともに筋線維も太くなる傾向が認められた。
    筋束の太さおよび筋束内筋線維数では, 両筋肉とも部分的には有意差は認められたが一定の傾向は認められなかった。
    両筋肉について筋線維の太さ, 筋束の太さおよび筋束内筋線維数の3者間の相関関係を品種別に調査し, t検定により有意性を調べた結果は, 前報と同様な傾向が認められ, 胸最長筋の両品種には, 筋線維の太さと筋束内筋線維数の間に負の相関が認められた。また大腿二頭筋では, 両品種とも筋線維の太さと解筋束の太さの間に正の相関が認められた。
    今回の結果と前報の結果を考え合せる時, 両筋肉の組織学的特徴について品種別に比較検討した場合, 鹿児島バークシャーの筋線維の太さは, ランドレース, アメリカバークシャー, ハンプシャーおよび大ヨークシャーに比べて細いことが判明し, 肉のきめが最も細いのではないかと思われる。
  • 江藤 正信, 酒匂 光郎
    1979 年 16 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    A/NJ/8-x-53/76 (HSWINI) 株に対する抗体保有状況は, 1976年10月の調査では陰性であったが, 1977年7月の調査では, 1地区の2頭より抗体が確認された。1977年11月の調査では, 抗体保有100%は5市町村に, 30%は1町に, 25%は1市に, 15%は1町に分布していた。
  • I. 育成後期の飼料給与水準が雌豚の体格と繁殖性に及ぼす影響
    糟谷 泰, 阿部 登, 梶野 清二
    1979 年 16 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    育成後期 (体重90kg~フラッシング開始) の飼料給与水準が雌豚の体格と繁殖性にどのような影響を与えるかを調査する目的で, ランドレース種8腹から雌2頭づつを供試し, 体重90kgまでは直接検定法にしたがって育成し, その後, フラッシングを開始するまでの約3ヵ月間を, 検定飼料2.2kg/日給与する区 (2.2kg区) と1.6kg/日給与する区 (1.6kg区) に各腹から1頭づつを配分した。交配後は当場の一般雌豚と同様に飼養した。
    1. 90kg到達は平均173日令と若干遅れる傾向にあったが, これは放飼における運動および外気温の影響と判断された。
    2. 90kgからフラッシング開始までの規定量を給与した期間における1日平均増体重, 飼料要求率は, いずれも2.2kg区が1.6kg区より有意に (P<0.01) すぐれていた。
    3. 初発情および交配の日令に処理間の差はなかったが, 体重については, 初発情, 交配時ともに2.2kg区が1.6kg区より有意に (P<0.01) 重かった。一方, 90kgから交配時までの飼料消費量は, 1.6kg区が2.2kg区より有意に (P<0.01) 少なかった。
    4. 7~10ヵ月令体重では2.2kg区が1.6kg区より有意に重かったが, 11ヵ月令体重には有意な差が認められず, 又, 初産離乳時には, 平均値にもほとんど差がなかった。体尺値については, 体長の8~12ヵ月令, 胸囲の8~11ヵ月令, 胸深の8ヵ月令に有意な差がみられた。
    5. 初産次に14腹 (2.2kg区で7腹, 1.6kg区で7腹), 2産次に13腹 (7腹, 6腹), 3産次に13腹 (6腹, 7腹) が正常に分娩, 哺育された。いずれの産次においても, 分娩頭数, 生産頭数, 育成頭数ばかりでなく, 生時, 2週令および5週令の子豚平均体重にも処理間に有意な差がみられなかった。
  • 糟谷 泰
    1979 年 16 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    自家検定における飼養法について検討する目的で, 雌豚を「舎飼い」により運動を制限し, 直接検定方式で育成した場合の発育と肢蹄に対する影響を調査した。
    L種13頭, W種7頭を豚産肉能力検定豚房に収容し, 90kg到達まで舎飼いにして運動を制限した以外は,「若雄豚選抜事業実施細目」に従って飼養した。90kg以降は検定飼料を2.8kg/日給与し, 1日1時間程度の追い運動により「飼い直し」を行なった。
    1. 30~90kgにおける1日平均増体重は, L種が763.55±67.72g, W種が786.56±40.90gと良好で, 又, 飼料要求率もL種が3.02±0.28, W種が2.88±0.14とすぐれた成績を示し, 直接検定成績判定基準値を大きく上廻っていた。
    2. 90~120kgにおける1日平均増体重は, L種が619.72±49.43g, W種が618.52±42.35gと, 日本飼養標準の期待増体重を大きく上廻った。又, 飼料要求率もL種が4.54±0.39, W種が4.53±0.27とすぐれた値を示した。
    3. 舎飼いによる運動の制限は, 肢蹄への悪影響が強く, L種では150日令頃から起立不能が発生し, 90kg到達以前に2頭, 120kg到達以前に2頭の計4頭 (30.8%) が, W種では120kg到達以前に1頭, 120kg到達後に1頭の計2頭 (28.6%) が後肢傷害による起立不能となった。その他についても前肢湾曲や後肢軟弱がみられ, 又全体にしまりに欠けるものが多かった。
    4. 初発情は179.94±12.64日令, 101.18±10.73kgと比較的早期に発現したが, バラツキが多かった。初発情以降無発情であった4頭に, PMSGの投与を試み, 全頭が投与後4~5日目に発情が再帰した。
  • I. 桃園種の血液型および血清蛋白型変異
    田中 一栄, 大石 孝雄, 黒沢 弥悦
    1979 年 16 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    台湾在来豚 (桃園種) の血液型および血清蛋白型の変異を明らかにするために北部と南部の2地域で調査を行ない, その遺伝子頻度から遺伝的距離係数を求めて他品種との関係を比較検討した。得られた結果は次の通りである。
    1) 北部と南部の集団間で, いくつかの血液型システムにおける遺伝子頻度に有意差が認められた。これは淘汰による急激な減少のため, 現在特定の地域にのみ閉鎖的に飼養されている集団のサイズが小さく, 従ってこれら2集団間に遺伝的な分化がおきているものと考えられる。
    2) 北部の集団では, TfシステムにおけるBB型およびBC型の出現頻度が43%および57%と高かったにも拘らずCC型のそれは0%であり, Tfc遺伝子がある家系内では劣性致死遺伝子と連関していることが示唆された。
    3) 南部の集団で新たな変異体, Hp-XおよびHp-Yが認められ, また両集団でAm-Yが検出された。これらの変異体を支配する遺伝子は比較的高頻度で集団に保持されていることが推察された。
    4) 桃園種の遺伝子頻度を欧米系改良種と比較するとG-, Ka, Lh, Tfc, Hp2, Hp3, AmAおよびAmc遺伝子の頻度が高く, K-, L-およびPaB遺伝子を欠くなど, 東亜系在来豚の特徴が顕著に認められた。
    5) 遺伝的距離係数の比較では, 桃園種はオーミニ豚と最も近く, 次いでタイ, フィリピン, 東マレーシアおよび西マレーシアの各在来豚の順であり, 欧米系改良種とはいずれも0.5以上の大きな値を示した。
  • 宮嶋 松一, 椎葉 純一, 河野 建夫, 稲垣 二郎
    1979 年 16 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    当場にけい養されているランドレースについて, 1973年3月~1977年11月の間にけい養された種雌豚の発情再帰と諸要因との関係を検討した結果は次のとおりであった。
    (1) 産次別発情再帰日数は, 初産29.0日, 2産15.2日, 3産以上16.5日で有意差が認められ, 初産豚に発情再帰日数が遅い傾向が認められた。
    (2) 分娩前体重と発情再帰日数は, 初産では体重200kg以下201kg以上, 2産以上では220kg以下と221kg以上で, 発情再帰日数に有意な差が認められた。
    (3) 体重減少率と発情再帰日数は, 初産では有意差が認められたが, 2産, 3産以上では差は認められなかった。
    (4) 月別発情再帰日数は, 初産, 3産以上では有意差が認められたが, 2産では月別の差は認められなかった。
    (5) 発情再帰日数と他の形質の相関は, 初産において, 分娩日齢の遅いものは発情再帰が遅い傾向が認められた。体重減少率と発情再帰日数では, 体重減少率の少ないものは, 発情再帰が早くなる傾向が認められた。
    6 体尺測定値と発情再帰日数は, 90kg時における, 胸深, 体高, 尻長において相関が認められた。
    130kg時においては, 130kg日齢, 胸囲, 管囲, 胸深, 十字部高において有意な相関が認められた。
    分娩前においては, 胸囲と発情再帰日数の間に有意な相関が認められ, 胸囲が大きくなると発情再帰が早くなる傾向にあった。
    7 発情再帰日数と魚粉添加飼料の給与では魚粉を5%添加した区の方が初産において発情再帰の早い傾向があった。
    8 個体別発情再帰日数は, 個体により発情再帰が, 短かいもの, 長いものがあり有意差が認められた。
    以上の結果から, 発情再帰に関与する要因は多く考えられるが, 栄養的な関係がかなり強いと思考されるので, 分娩前体重はある程度の大きさに持ってゆき, 分娩後は栄養的に不足にならないよう, 哺乳中は十分に飼料を給与することが必要と思われる。
  • P. B. ADDIS
    1979 年 16 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 16 巻 1 号 p. 60-86
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • 氏家 正
    1979 年 16 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1979/05/31
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
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