日本養豚研究会誌
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間性豚の形態と染色体構成に関する研究
門司 恭典横山 正樹大沢 昭弘渡辺 誠喜
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1979 年 16 巻 2 号 p. 158-164

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抄録

外部生殖器異常豚「間性」5頭について, その白血球培養法により染色体構成及び外部生殖器の観察を行ない, 屠殺後内部生殖器の形態並びに精卵巣様組織像について検討した。
1. 外部生殖器異常豚はランドレース種4頭及びランドレース種と大ヨークシャー種との交雑種 (L×W) 1頭であった。
2. 外部生殖器は5例中4例が雌の様相を呈し, 腹側陰唇交連が挙上して陰核が発達しており, この陰門よりあたかも雄性の亀頭のようなものが突出していた。1例においては雄性の様相を呈し, 外部生殖器は股間に陰茎様 (7.2cm) をなして下垂していた。5例中3例に左側に陰のうの形成が認められ, その内1例では精巣様組織が陰のう内に下降, 存在していた。
3. 内部生殖器はいずれも雌性に近く, ミュラー管に起源する子宮角, 子宮, 膣の分化は顕著に認められた。また1例を除き腹腔内卵巣部位に雄性の精巣様組織が存在した。その組織像には精細管並びにセリトリー細胞の存在が認められたが, その発達程度は供試豚の月令に必ずしも平行せず供試豚間に個体差が認められた。
4. 白血球培養法による性染色体にはXX/XO, XX/XY, XX/XYのモザイクが認められたが, 一方モザイクの認められなかった個体も存在した。これらのことから生殖器異常豚の基本的な性染色体構成はいずれも雌型 (XX) であると推考された。

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