日本養豚研究会誌
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光電比色計による豚精液の精子数算定法について
旦野 勇吉丹羽 太左衛門瑞穂 当
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1965 年 2 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

豚精液における精子数の簡易算定法を研究する目的で光電比色計を用いて実験を行ない, その測定値を血球計算器で得た精子数と対比して種々検討し, 次の如き結果を得た。
(1) 精子数を算定する目的で, 精液を光電比色計に供用する場合の精液の稀釈液としては, 精子に与える影響が少なく, しかも精漿の透明化を大ならしめる10%クエン酸ソーダ液が適当である。
(2) 精液を上記稀釈液で5倍に稀釈したのち, 吸光度の安定するまでの最短時間35分を以て測定時間と定めた。
(3) 光電比色計の吸光度と精子数の間には直線の関係が存在する。すなわち, 一般に人工授精に供用されると見做される範囲の精液において, 吸光度と精子数の間に次の回帰方程式が得られた。
Y=-2.49+44.80X
(Y=推定精子数, X=吸光度)
つまり回帰係数に吸光度 (X) を乗ずれば被検精液中の精子数が算定できる。
(4) 回帰係数 (44.80) は1%水準で有意であり, 信頼限界は44.80±1.14であった。
(5) 光電比色計の吸光度を用いる場合は, あらかじめ肉眼的に0.1~0.6位の範囲内に稀釈精液の濃度を調節しておくことが望ましい。(10%クエン酸ソーダ溶液により5倍稀釈することでその目的は達せられる。)

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