8頭の同腹ランドレースF
1子豚 (ヨークシャー♀×ランドレース♂) を用いて, 冬季寒冷時に肉豚を肥育するにあたり保温して肥育した場合と自然環境で肥育した場合の豚の発育, 飼料の利用性ならびにと体の性状について比較調査した。試験期間中の舎内温度は, 保温区が最高温度19~24℃, 最低温度12~17℃である, 対照区は試験開始後9週までは最高温度7~14.4℃, 最低温度3.0~8.6℃で, 10週以後は保温区と大差なかった。また両区間の温度差は9週までは最高温度で10~12.6℃, 最低温度で7.6~10.7℃あったが, 10週以後は大きな差はなかった。なお保温区の保温は4月17日で廃温しているので保温期間は試験開始後70日間であった。舎内湿度は保温区が9週までは51~58%, 10週以後は68~80%で, 対照区は71~80%であった。
発育の速さは平均体重90kgに達するのに, 保温区は前期65日, 後期56日, 全期間121日, 対照区は前期78日, 後期60日, 全期間138日で, 両区間の差は前期13日, 後期4日, 全期間で17日保温区が早く, 前期の差が大きかった。
増体重は12週 (保温区廃温) までは保温区46.9kg, 対照区37.4kgで9.5kgの差があり, 1%水準で有意の差を示し, 17週 (保温区試験終了) では保温区72.3kg, 対照区60.2kgで保温区がまさり, 5%水準で有意であった。1日平均増体重は保温区が前期531g, 後期717g, 全期間618gで, 対照区が前期443g, 後期663g, 全期間539gであり, 前期で88g, 後期で54g, 全期間で79g保温区がすぐれ, 前期および全期間では5%水準で有意の差を示した。
飼料要求率は保温区が前期2.86, 後期3.88, 全期間3.41対照区が前期3.32, 後期4.08, 全期間3.73でいずれも保温区が小であった。
なお, 肥育前期 (7週) に酸化クロームを指示物質として消化試験を実施したが, 粗繊維の消化率は保温区38.4%, 対照区32.1%で保温区がまさり, 有意の差を示したが, 他の成分については殆んど差がなかった。なお消化試験中の1日平均増体重は保温区621g, 対照区364gで保温区がすぐれていた。
と体の性状については, と体長は保温区が92.3cm, 対照区90.2cmで保温区が長く, 脂肪の厚さは保温区3.1cm対照区3.5cmで対照区が厚い傾向がみられた。ロース面積, 大割肉片の割合などは殆んど差がなかった。なお, 皮下脂肪の組成は, 水分, 粗蛋白質の割合は保温区が高く, 粗脂肪の割合は対照区が高く, 有意の差を示した。
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