日本養豚研究会誌
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マメ科牧草利用による豚の飼養とその肉質
第3報 ラジノクローバー生草飼養による豚肉の品質について
吉本 正斎藤 孝夫横山 健吉
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1970 年 7 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

ラジノクローバー生草飼養による豚肉の品質を検討すために, 育成期の119日間をラジノクローバー生草と濃厚飼料で飼養し, その後49日間を肥育期として, 生草を中止し, バレイショと濃厚飼料で飼養した群と, 育成期肥育期ともにバレイショと濃厚飼料で飼養した群とについて調査を行なった。
供試豚は中ヨークシャ種6頭であり各区3頭ずつに分け単飼で飼育した後, 体重約90kgでと殺解体した。
調査項目としては, と体成績, 枝肉成績, 脂肪の融点および屈折率, 赤肉の化学的組成, 肉および臓器中の Creatine, Creatinine 含量を検討した。
その結果, 内臓総重量は試験区がやゝ重く, 特に胃の容積が大きかったが, これはラジノクローバーを給与することにより消化器官が増大したものと考えられる。
枝肉成績については対照区の背脂肪がやゝ厚く, 骨が細かったが, 試験区は対照区に比べて脂肪量が少なく, 赤肉および脂肪に対する骨重比も正常な値であった。これはラジノクローバーのもつカルシウムの効果と考えられる。
肉および脂肪の理化学的性質については, 融点は正常な値を示し, 両区に差は認められなかった。屈折率は試験区がやや高い値を示した。赤肉の化学的組成, Creatine, Creatinine については両区間に差が認められず, ともに正常な値を示していた。Creatine と Creatinine は臓器よりも肉に多く含まれ, 臓器の中では膵臓, 脾臓肝臓の順であった。

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