日本養豚学会誌
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アメリカ養豚産業における生産技術革新と大規模経営の成立条件
斉藤 修杉山 和男
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1990 年 27 巻 4 号 p. 194-201

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抄録

アメリカ養豚産業における生産構造のドラスチックな変化は, 1970年代からの技術発展によっている。この発展は資本集約的であり, 生産単位が拡大するにつれて規模拡大が顕著になった。この結果として, より専業的な家族経営が成長し, 企業形態を転換した。
養豚生産はコーンベルトでは小規模な部門であり, 自給飼料と結びついた複合経営が支配的であったので, 技術の発展が制約された。しかし, 放牧システムから全面的舎飼システムに移行すると, 養豚経営は省力化され, また飼料効率が改善された。
コーンベルトの周辺地域においては, コーンベルトでの肥育経営の形成に対応して繁殖経営が成長し, 経営組織の分化がみられたが, 依然として一貫経営が支配的である。大規模経営はコーンベルトよりも購入飼料への依存度が高い南東部で成立し, 特に東部市場に近接した立地条件にあるノースカロライナ州に集中した。それに遅れてコーンベルトでも大規模経営の成長がみられてくるが, 全階層的に南東部よりも経済的有利性が維持されているといえる。この有利性は, 南東部の大規模経営が自給飼料への依存度の低い専業的経営であるのに対して, コーンベルトでは複合経営である点にあるといえる。

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