日本養豚学会誌
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単飼条件および群飼条件下での肥育豚の行動比較
鎌田 寿彦渡辺 裕
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1996 年 33 巻 4 号 p. 115-121

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抄録

肥育豚における同腹以外の個体との群編成はストレスの原因になるとも考えられている。未知の個体が群を形成した時の行動と, 他個体の干渉の無い単飼の時の行動とを比較して, 群飼によりどのような影響を受けるかの検討を行った。異なった4ヶ所の農場から肥育末期の豚を1頭ずつ導入し, 単飼での行動を観察した後, 群を編成して行動を7日間観察した。群を編成した後, 行動割合が一定になるのに4日以上を要したが, 行動が安定した群編成後6~7日の平均と単飼時とを比較すると, いずれの条件でも休息行動が1日の80%以上を占め, 次いで採食行動が10%程度出現するといった概況は類似していたが, 休息行動の総時間はやや群飼で多く, 採食行動において群飼が総時間で26%, 回数で42%少なく, 持続時間は33%長かった。群飼では長時間連続で休み, 集中的な採食行動を示すと言えた。単飼条件で揃っていなかった豚間の行動リズムが群飼条件では揃うようになった。群編成初日の特にはじめの3時間は敵対行動が多発し, 休息行動があまり見られないなど異なった様相が見られたが, その後は安定化へ向かった。これらの結果から, 群編成は一時的にストレスとなるがすぐに安定し, むしろ単飼時より落ちついていると見られる状況が出現するので大きなストレスとなっていないのではないかと考えられた。

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