日本養豚学会誌
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食肉製品の発色に及ぼす乳タンパク質酵素分解物の促進効果
坂田 亮一森田 英利乗松 毅伊藤 典之
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2000 年 37 巻 4 号 p. 133-138

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抄録

乳タンパク質の酵素分解物が有する食肉製品への発色促進効果について検討を行った。この分解物は, 限外ろ過法で脱脂乳から分離濃縮したものを基質とし, 市販の食品用酵素剤2種を用い50℃, 5時間の条件で消化して粉末化することにより調製した。ゲルろ過/HPLC法で分析した結果, 酵素処理により乳タンパク質の大部分は分子量1,500以下のペプチドになっていた。発色促進効果を赤色の程度を示すa*値で評価したところ, 酵素分解物を10%添加し試作したソーセージは17ppm NaNO2濃度でも発色は良好で, NaNO2のみを85ppm加え調製した試料よりも明らかに高いa*値を示した。発色色素の生成程度を示す75%アセトン抽出液の吸収スペクトルを測定した結果, 酵素分解物を添加したソーセージにおいて, 発色色素の生成量増加が確認された。このソーセージの発色率は, 乳タンパク質の酵素未分解物を添加した対照試料の約1.6倍を示した。また, 酵素分解物を50%エタノールで抽出した画分を添加したソーセージで, さらに発色率が向上した。これらの結果から, 乳タンパク質酵素分解物を食肉加工に発色促進剤として利用しうる可能性が示唆された。

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