2004 年 41 巻 4 号 p. 217-227
食品残さ由来飼料のみで豚を飼養するような給与形態を想定して飼料成分表と食品成分表の値をもとに各種食品残さの配合設計を行い, 実際に各種食品残さを収集し, 乾燥飼料として調製し, それらの組成および栄養価の推定値の有効性を検討した。素材の収集は神奈川県平塚市を収集地域とし, ごはん類, パン類, 麺類, ライ麦糠, ビール粕, 魚類, 豆腐類, オカラ, 野菜屑を飼料化素材として供試した。これらの組成・栄養価について, 残さの品目別に, 飼料成分表もしくは食品成分表から計算基礎値を抽出し, その値をもとに3種類の配合設計を行った。これらについて各45日間以上, 素材の収集と乾燥飼料化を行い, 各900kg以上の乾燥飼料を得た。その組成分析を行うとともに, LWD種, 計15頭 (平均体重47.2kg) を供試して消化試験を行い, 得られた組成および栄養価の実測値と飼料設計時の設計値を比較した。その結果, 飼料成分表には記載されていない食品残さ類の飼料利用に際して, 食品成分表の値と組み合わせて組成を推定することは有効であった。栄養価 (TDN) については, 予測値に±3%程度の誤差が生じる。またアミノ酸についてもリジン含量の実測値が設計値を下回ったため, 必要に応じて安全率を見込んだ配合設計が必要であると考えられた。原材料の組成を抜き取りサンプリングによって測定しても, 今回の条件下では予測の精度は必ずしも高まらなかった。