抄録
太陽系最大の衛星である木星系のガニメデは,金属核起源の双極子磁場を持つ唯一の衛星である.一方でその内部構造の推定には観測量が不足しており,金属核や岩石マントルの量比には大きな不確定性が残されている.本稿では,ガニメデ内部熱史に関する数値シミュレーションを行い,磁場の発生に必要な金属核の熱的状態を制約条件に用いて内部層構造の量比を制約した研究をレビューするとともに,衛星エウロパやカリスト,タイタンといった磁場を持たない(しかし大きさ等でガニメデと類似性を持つ)衛星との進化史の違いについても議論を広げる.