抄録
2007年9月14日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げ,2009年6月11日に月面に制御落下した日本の月周回衛星「かぐや(SELENE)」は,冷戦時の米・ソのアポロ・ルナ両計画以降初となる本格的な月探査ミッションであった.搭載された最先端の科学観測機器を通じて月に関する科学を総合的に推進するだけでなく,月という身近な天体の探査を通じて国民への宇宙科学・宇宙開発の普及啓発を進めた.本稿では,「かぐや」の打ち上げ準備段階から制御落下までに実施した広報・普及啓発活動やデータの教育利用にむけた取り組みとその成果を紹介する.