2019 年 19 巻 5 号 p. 5_267-5_282
相互作用の影響を受けた構造物の応答から各層の剛性と減衰を推定する方法を提案する.本方法は,任意の階で切り取ったサブストラクチャーモデルの基部固定時の一般化座標の絶対応答倍率(モード応答)を各階の観測値から求め,これを計算モデルのものと一致するように層剛性と減衰定数を同定するものである.同定計算の際,構造物の減衰分布が任意の場合(非比例減衰)に適用できるように,擬似複素モードパラメタを用いている.ここに,対象とする構造物はせん断型であること,基礎の水平動と回転動,および全階の水平動が観測されているものとしている.本論ではまずこの方法のもとになる基礎式を示し,続いて相互作用を考慮した構造物の応答計算値を用いてその適用性を検討する.