2016 年 25 巻 3 号 p. 108-114
はやぶさ2では小惑星内部構造の解明を目指している.レーザ高度計からは測距と送受光レベルの観測データが得られ,形状モデルや重力推定の基礎データが提供される.小惑星の不均一性や形状の静水圧平衡からのずれ,形状中心と重心のずれは小惑星の合体成長史を知る手掛りになるだろう.また,レーザ高度計のダスト観測モードでは浮遊ダストの検出に挑戦する.もし検出されれば,小惑星表層進化の理解に一石を投じることになる.さらに宇宙衝突実験で発生する地震波動は表面流動と地形緩和を広範に引き起こす可能性があり,小惑星内部構造の研究に新たな分野を切り拓くことになるかも知れない.