2017 年 26 巻 2 号 p. 59-67
形成の最終段階で巨大衝突を経た地球型惑星は溶融する.形成時に獲得した揮発性元素に応じて,マグマオーシャン上には大気が形成されうる.本稿では,マグマオーシャン上に形成する大気の組成・熱放射スペクトルに関する最近の研究をまとめる.そして,筆者の研究により得られた知見に基づき,大気とマグマオーシャン進化の観点から,系外惑星系での溶融した惑星の観測可能性を議論する.また,関連した話題として,水の光分解と水素の散逸に伴い系外惑星が酸素大気をもつ可能性について最近の研究を紹介する.