日本惑星科学会誌遊星人
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「2017年度最優秀発表賞受賞論文」高分散分光観測を用いた原始惑星系円盤のH2Oスノーラインの同定可能性
野津 翔太
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2018 年 27 巻 3 号 p. 120-126

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抄録

原始惑星系円盤内のH2Oスノーラインを観測的に同定することは,微惑星・惑星形成過程や,地球上の水の起源を考える上で極めて重要です.私たちは,円盤の化学反応ネットワーク計算と放射輸送計算の手法を用いて,H216O, H218O輝線プロファイルの観測から円盤内のH2Oスノーライン位置を同定する方法を提案してきました.その結果,光学的厚みが比較的小さく励起エネルギーが比較的高い輝線のプロファイルを高分散分光観測で調べることで,H2Oスノーラインを同定できる可能性があることがわかりました.またこの様な特徴を持つH2O輝線が,中間赤外線からサブミリ波までの幅広い波長帯に多数存在し,その強度は波長が短い程大きいことなども分かりました.本記事では,これまでの解析結果の紹介と今後の高分散分光観測でのH2O スノーラインの同定可能性の議論を行います.

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© 2018 日本惑星科学会
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