2019 年 28 巻 4 号 p. 323-331
太陽系外から来たと思われている小天体1I/`Oumuamuaは光度曲線の観測から中間軸/長軸比が0.3以下の極端に細長い形状をしていると考えられている.本研究ではそのような形状の起源として微惑星同士の衝突を考え,Smoothed Particle Hydrodynamics法を用いた衝突シミュレーションによって極端細長形状を形成する衝突条件を調べた.その結果,半径50 mの微惑星に同じ程度の大きさの微惑星が40 cm/s以下の低速で衝突することで極端細長形状が形成可能であることがわかった.この低速な衝突速度は乱流強度αが10-4以下で大きな微惑星の半径が7 km以下であるような原始惑星系円盤の環境で実現可能である.そのため,1I/`Oumuamuaはそのような乱流が弱く極めて若い原始惑星系円盤から飛来してきた可能性がある.