日本惑星科学会誌遊星人
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一番星へ行こう!日本の金星探査機の挑戦 その49 〜金星大気初のデータ同化への挑戦:あかつき観測と数値計算の融合〜
杉本 憲彦藤澤 由貴子安藤 紘基高木 征弘AFES-VenusチームALEDAS-Vチーム
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2022 年 31 巻 1 号 p. 88-93

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抄録

金星探査機「あかつき」の観測データを最大限に活用するために,我々の研究グループでは金星大気の全球的な流れを地球シミュレータ上で計算する数値モデル「AFES-Venus」と,局所アンサンブルカルマンフィルタを用いて観測データをAFES-Venusへと同化するデータ同化システム「ALEDAS-V」を開発してきました.前回からの進展として,AFES-Venusでは,超長時間積分による静止状態からのスーパーローテーションの再現,超高解像度計算による熱潮汐波からの大気重力波の自発的な放射の発見,雲物理過程の導入,低安定度層などの温度構造の再現,加熱や安定度の改良によるケルビン波や熱潮汐波の現実的な再現,などに成功しました.また,ALEDAS-Vでは,「あかつき」やVenus Expressの紫外画像で得られた水平風を同化し,金星大気初の現実的かつ時空間的に偏りのないデータセットの公開への準備が進めているほか,仮想的な観測データを同化することにより観測の「有効性」を検証するための観測システムシミュレーション実験なども実施しています.これらの成果を簡単に紹介し,今後の展望についての報告をしたいと思います.

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