日本惑星科学会誌遊星人
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「2022年度最優秀発表賞受賞論文」小質量惑星が駆動するガス流れ場:円盤ダスト面密度と惑星形成への影響
桑原 歩 黒川 宏之谷川 享行井田 茂
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2023 年 32 巻 3 号 p. 176-185

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抄録

近年の観測から,多くの原始惑星系円盤においてダストの空間分布にリング・ギャップ構造が見つかっている.ダストのリング・ギャップ構造の惑星による起源として,従来研究の多くは海王星質量以上の惑星 (≳ 15 地球質量) によるガスギャップ形成の影響を議論してきた.本研究は,∼ 1–20 地球質量程度の小質量惑星に着目する.円盤内に埋もれた小質量惑星は,自身の重力によって周囲のガスの流れを乱す.円盤内に存在する小さなダストはガスの流れの影響を強く受ける.本稿では,小質量惑星が駆動するガス流れ場がダストの動力学に及ぼす影響に関する我々の研究について解説し,ガス流れ場によるダストのリング・ギャップ構造形成シナリオを新たに提案する.そして,本稿が提案するシナリオの観測的検証に向けた議論を行い,ガス流れ場が惑星成長率に及ぼす影響と系外惑星の質量-軌道半径分布への示唆についても議論する.

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