画像情報のディジタル化は時代の流れであり,医用画像の分野においても例外ではない.その利点の一つに「画像処理技術」の適用性がある.この技術は,アナログ(フィルム)に比べて画質がまだ不十分であるとされている医療用ディジタル画像を改善("補完")するとともに,アナログではできなかった信号(診断対象の病変)の強調処理などにも期待がもたれる.また,撮像機器(ハードウェア)の進化とともに,専用の画像処理手法の開発も進んでいる(エネルギーサブトラクションや断層画像が得られるトモシンセシスなど).さらに,究極の画像処理として,コンピュータが病変部位の指摘や良悪性の鑑別処理を行い,医師がこれを第二の意見として利用する「コンピュータ支援診断(computer-aided diagnosis, CAD)システム」があり,マンモグラフィを含め一部の画像診断領域で実用化がすでに始まっている.本稿では,マンモグラフィのための画像処理技術とCADの現状,問題点および展望をまとめる.
抄録全体を表示