情報地球学
Online ISSN : 2759-9434
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表紙(情報地球学 第36巻 第3号)
目次
論説
  • 小俣 珠乃, 小松 美鈴, 千葉 達朗, 猪狩 祥平, 鈴木 太郎, 伊藤 佳世, 林 忠誉, 熊谷 洸希, 田中 香津生, 木戸 ゆかり
    原稿種別: Article
    2025 年36 巻3 号 p. 53-63
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/09/25
    ジャーナル 認証あり

    山梨県毛無山に存在する湯之奥金山は,戦国~江戸時代にかけて稼働していた中山,内山,茅小屋金山の総称であり,日本史においてごく初期の山金採取(露頭掘)が行われた痕跡として国史跡に指定されている.日本の金山開発は,元々河川などでの砂金採取に始まり,河岸段丘堆積物から砂金を取り出す柴金,山金採取と開発方式が進化した.
    本研究では,湯之奥金山地域の25 cm精度の赤色立体図を作成して微地形の観察を行った.その結果,この地域には,戦国時代に人工的に造成された広大な斜面が見られ,その広さは,おおよそ東西2 km,南北1.3 km,標高900 mから1,850 mまで,約150ヘクタールに及んでいた.
    古文書の記録からは,当時中山金山で産金を行っていた人々は金山衆と呼ばれ,元亀2年 (1571) の武田信玄による北条氏の駿河深沢城攻撃に参加したと記録されている.その記録によると,深沢城を昼夜含めて30日あまり攻撃し,本城外張まで掘崩してしまったとある.本研究では,中山金山の金山衆は標高差900 mにおよぶ斜面を造成したことが判明した.かれら金山衆は,標高差10 mに満たない深沢城の外廓を,限られた日数で崩す技術力を有しており,駿河深沢城攻撃に使われた可能性が示唆される.

研究ノート
  • 余野 央行, 桑谷 立, 大河原 聖, 植木 俊明, 木川 栄一
    2025 年36 巻3 号 p. 65-70
    発行日: 2025/09/25
    公開日: 2025/09/25
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,マルチビームソナーにより取得された海底点群データに対し,連続関数辞書を用いたスパースモデリングによるノイズ除去手法を提案した.点群の局所領域に対して特異値分解によりx−y 平面座標系を導出し,そこから生成した離散コサイン変換基底を用いて連続関数の係数行列を構築した.これを事前に学習した辞書と組み合わせ,直交マッチング追跡法によりスパース係数を推定し,z 値を再構成することでノイズを除去する.人工地形データおよび実測マルチビームデータを用いた検証により,検出精度と検出漏れのバランスを考慮した判別性能の指標であるF1 スコアにおいて,人工データではF1 スコアが0.95 程度,実測データではF1 スコアが0.7 程度となり,それぞれ良好なノイズ検出性能が得られた.実測データにおいてはノイズ点の見逃しがやや多い傾向が見られたが,教師データとして人工地形データを利用した場合でも利用できる点は実用性において大きな利点である.今後は,局所領域設定・閾値条件の改善や対象地形に類似した実測データに基づく適応的な辞書学習により,再構成精度の向上を図ることが課題である.

特別寄稿
学事記事
「情報地球学」原稿整理カード、保証書、入会申込書、編集後記
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