インベスター・リレーションズ
Online ISSN : 2435-435X
Print ISSN : 2185-0798
13 巻, 1 号
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表紙
目次
寄稿文
論文
  • 越智 信仁
    原稿種別: 論文
    2019 年 13 巻 1 号 p. 17-31
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    <論文要旨>

     本稿では、比較可能なESG 評価の可能性と課題を探ることを目的に、ESG 情報の比較可能性による企業活動への市場規律向上を基本的視座として、AI(人工知能)による統一指標や信用格付への統合、SASB(サステナブル会計基準審議会)基準の活用可能性等を巡り、ESG 評価・格付等の発展可能性を論じるとともに、開示の画一化・短期化、財務偏重への懸念など今後の課題を考察した。

     そこでは、信用格付やSASB 基準による比較可能な定量・定性的情報のほか、ESG インデックスのばらつきを克服するユニークなツールとして、AI を活用したS-Ray による比較可能性向上のポテンシャルにも論及した。ただ、一般にAI はメディア報道を含む膨大な外部情報源の迅速な解析に強みを有する反面で、S-Ray を含め情報源・アルゴリズムの偏向等への疑念も現状では完全に払拭し切れない。今後は評価対象・方法等の透明性を増しながら、資本市場のみならず労働・消費等各種市場で広範に利用できる比較可能情報として発展していけるよう、信頼性確保に向けた制度インフラ整備も重要になると考えられる。

実務紹介
  • 辻本 臣哉
    原稿種別: 実務紹介
    2019 年 13 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2019/11/30
    公開日: 2020/07/06
    ジャーナル オープンアクセス

    <論文要旨>

    2015 年、世界最大規模の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国連責任投資原則(PRI)に署名したことにより、日本において、にわかにESG 投資が脚光をあびることになった。ESG 投資の具体的な手法として、最も一般的なのは、ESG レーティングである。ESG 情報ベンダーの情報に、独自のリサーチを追加して、自社のレーティングを付与する方法である。ただし、こうしたESG レーティングは、ESG、ファンダメンタルをそれぞれ分離して評価しているため、本当の意味でのESG インテグレーションになっていない。アセットマネージャーが、次のゴールとして設定するのが、本来の意味でのESG とファンダメンタルの統合である。多くのアセットマネージャーは、企業の評価に、3~5 年の収益予想を行っている。この収益予想にESG 情報を直接反映させることが求められる。また、配当割引モデル(DDM)、キャッシュフロー割引モデル(DCF)といったバリュエーションモデルのリスクの計測にもESG 情報を利用することが考えられる。ESG 投資には、まだESG リサーチのレベルアップ等の課題はあるものの、長期投資の手法として広がり、そして一般化されていくと考えられる。とくにエンゲージメントは、企業価値を向上させる可能性を秘めており、日本の株式市場や実体経済に貢献すると考える。

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