公認心理師:実践と研究
Online ISSN : 2436-7524
早期公開論文
早期公開論文の3件中1~3を表示しています
  • 小林 清香, 小貫 亜希子, 高野 公輔
    原稿種別: 原著論文(調査・実験研究)
    論文ID: a05.a101
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー 早期公開
    慢性腎臓病領域での心理職の業務を明らかにし,心理職がこの分野で直面する困難ややりがい,貢献可能性を整理した。慢性腎臓病領域で心理支援に携わる心理職41名から協力を得,アンケート調査を実施した。対象者の大半が100床以上の病院に勤務していた。慢性腎臓病領域にかけるエフォートは,常勤心理職で16.8%,非常勤心理職で44.6%と差が見られた。患者への直接支援では,「心理的安定を図ることを目的とした関わり」や「面接や行動観察によるアセスメント」が多く実施された。医療者への間接支援では,「患者についてのスタッフの理解を促進するための心理的助言・情報提供」「スタッフの関わりに対する助言」が多く行われていた。この領域で働くうえでの困難として,〈慢性腎臓病特有の難しさ〉や〈心理職の活動基盤が確立されていないための難しさ〉が挙げられた。やりがいとして,〈患者の人生に関わり,身体疾患の改善に寄与できること〉,〈チーム医療の一員として心理職の専門性を活かせること〉が挙げられた。今後は,心理職の教育体制の整備を図り,より包括的な心理支援を提供できる体制を構築していく必要がある。
  • 山田 美穂
    原稿種別: 原著論文(実践研究)
    論文ID: a05.a201
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー 早期公開
    心理専門職コンピテンシーは,公認心理師が身につけるべき機能や専門性およびその基盤となる資質や能力である。本研究では心理専門職養成におけるコアコンピテンシーに着目し,大学院生による主観的評価の変化からその獲得過程を検討し,養成教育への示唆を得ることを目的とした。学内実習機関における自閉スペクトラム症心理教育プログラムの大学院生スタッフを研究協力者として,コンピテンシー自己評価質問紙を4回,スタッフインタビューを2回行った。プロフェッショナリズム,反省的実践,関係性の3つのコアコンピテンシーに焦点を当てて量的・質的に分析した結果,大学院生スタッフは自信がない中でスタッフ役割を経験し,自分の成長にも気づいていくが,新たな課題に直面すると自己評価も上下に変動していた。反省的実践に取り組み,課題への対処をしながら経験を積む中で,支援を俯瞰的に捉えるプロフェッショナリズムを身につけ,クライエントや他のスタッフとの関係性を調整できるようになる過程が見いだされた。養成教育への示唆として,コンピテンシー概念の教示と共有,反省的実践のサポート,大学院生同士の支え合い,教員も含めたチーム実践を挙げた。
  • 蔵岡 智子
    原稿種別: 原著論文(展望研究)
    論文ID: a05.a401
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー 早期公開
    本論では,心理支援における省察の展開をアドボカシー実践の観点から明らかにするとともに,批判的省察の教育について議論を整理し,今後望まれる教育・訓練を検討した。専門家養成における省察的実践は心理支援にも取り入れられ,基盤コンピテンシーの1 つとして位置づけられているが,アドボカシー実践においては権利擁護のために個人や既存の制度に対して働きかける際に,支援者自身もその環境に身を置いていることを自覚しながら,物事の前提や根本から問い直す批判的省察が必要となる。批判的省察の教育・訓練においては,支援者自身が社会的文脈に埋め込まれた存在であり,自らの特権性・周縁性を認識することが必要であるが,それを認識し是正し行動に移すことには困難が伴う。意識下の価値観や偏見に気づき,不快感を受け止め吟味し,社会的文脈の中の自己を認識するなど丁寧な学習が必要である。クライエントの人権を重視した心理支援のニーズが高まる中,批判的省察の教育・訓練の整備が望まれる。
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