本研究では,COVID-19発生施設のスタッフに対するメンタルヘルスケアのニーズを把握し,外部から支援に入りメンタルヘルスケアを行うには,どのような準備が支援導入に有用であるかを検討することを目的とした。クラスター発生施設で実施した心理支援の振り返り,および施設管理者を対象としたインタビュー調査の結果に基づき考察を行った。医療機関や高齢者施設がCOVID-19発生状況下で心理支援を要請するに至ったのは「スタッフの心理状態」「管理者としての懸念」「心理職への期待」があった。支援開始前に現場のニーズを確認し,具体的な支援方法を提示したこと,現場の状況に合わせて支援方法や形態を変えたことは管理者にとって「安心感」につながっていた。一方で,クラスター対応の中でスタッフのメンタルヘルスケアの必要性を感じていたが,どこに要請すればよいのかわからなかったことが共通して挙げられており,アクセスしづらかったことが示唆された。今後は支援窓口や支援に関する情報をよりわかりやすく地域の医療機関や施設に周知する工夫が必要である。
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