理論応用力学講演会 講演論文集
第56回理論応用力学講演会
選択された号の論文の302件中51~100を表示しています
OS2-2 自己相互作用流体の平衡状態とその安定性
GS1 電気電子機能材料
GS2 航空宇宙
  • 谷澤 一雄, 山本 和夫
    セッションID: 1F01
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    太陽電池パドルや平板型アンテナ等宇宙用の展開構造物には、展開駆動力として非接触型渦巻きばねを用いることが多い。このバネの使用に当たっては、幾何学的非線形性を十分に考慮しないとハ゛ネ間の接触やそれに伴うトルク低下が生じる。また、実際の使用に当たっては、大きなプリトルクを必要とするため、無負荷状態からのハ゛ネの回転角が大きい。このため回転角と発生トルクの関係も幾何学的非線形性を十分に考慮したものであることが望まれる。  ここでは、幾何学的非線形を考慮した渦巻きハ゛ネの力学特性(具体的には回転角に伴う変形形状の変化、及び回転角と発生トルクの関係)を明確にしたので報告する。
  • 山本 和夫, 西村 知浩, 谷澤 一雄
    セッションID: 1F02
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    衛星搭載型の太陽電池パドルなどの宇宙用折り畳み展開構造物では、展開時の衛星側壁への、あるいはパネル同士の衝突を防止して展開動作の信頼性を工場させるため、隣り合うパネルヒンジに設けられたCCL(Closed Cable Loop)と呼ばれるループ状のケーブルにより各パネルの展開角が等しくなる同期展開を実現している。しかし、CCLを設けることは部品点数の増加やCCL自身の不具合につながり、逆に展開の信頼性の減少に繋がりかねない。本論文では、CCLに替わり展開の駆動力であるヒンジ部の回転ばねのプリトルクやばね定数など力学パラメータを調整することで同期展開させる方式を提案し、その妥当性について検討する。調整の過程では、力学パラメータとパネル展開角の時刻暦との感度マトリクスを用い、同期展開との展開角の時刻暦の差が最小化されるようにパラメータの値を決定した。
  • 梁 忠模, 青山 剛史
    セッションID: 1F03
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    ヘリコプタシミュレーションにおいては、ロータ回転や飛行運動を含むヘリコプタの複雑な動きを考慮すると、正確で速い補間アルゴリズムの重要性が高い。本論文では、重合格子を構成する2つの異なる格子、直交格子と境界適合格子に対して、最も適する補間アルゴリズムを構築した。一般的なアルゴリズムと比較して、本アルゴリズムでは、(1) 直交格子の特性、(2)ヘリコプタの何学的な特徴、(3)並列処理のロードバランスなどを最大的に考慮した。このアルゴリズムを適用することによって、ヘリコプタ全機の大規模計算をより効果的に行うことができる。
  • 村上 桂一, 北村 圭一, 橋本 敦, 青山 剛史, 中村 佳朗
    セッションID: 1F04
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    ロケット及び搭載されているペイロードは、打上げ時に排気プルームに起因する厳しい音響環境にさらされる。これを数値的にシミュレーションするために、射場周辺の音源から放射された音が空間を伝播し、フェアリングなどの構造物を透過する物理現象の要素解析技術の確立が、本研究の目的である。これまで、音源解析として、ロケット本体への影響を軽減するために設けられている煙道が低周波音源になりうると考えられるのでその音響特性解析を、伝播解析として、煙道入口に固定したジェットが出口から噴出する際の圧力波伝播解析を、透過解析として、簡単な衛星フェアリングモデルに対する解析を実施してきたので、これらの手法および解析結果について述べる。
  • 高橋 孝, 村上 桂一, 青山 剛史, 相曽 秀昭
    セッションID: 1F05
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    ロケット打ち上げ時には、機械振動と同時に、広い周波数帯域を有する音響負荷が搭載宇宙機の外部表面に加わる。特に、宇宙機の搭載機器や、軽量で大面積の二次構造などには、音響振動が大きな影響を与える可能性がある。そこで、我々はシミュレーションによる事前予測があまり進められていない音響解析に関して、特に、フェアリング内に伝わった音波の影響による衛星の構造振動の詳細な解析を目指している。本研究では、高周波の応答解析に対応した統計的手法と低周波に対応した決定論的手法の両方で解析が難しい中間周波数帯に注目し、その周波数帯の解析に対応するための決定論的な数値シミュレーション法の拡張について検討した結果と課題について述べる。
  • 舩津 賢人, 白井 紘行, 小花 慎吾
    セッションID: 1F06
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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     惑星探査機や宇宙往還機などの宇宙船が宇宙空間から地球や他惑星の大気圏へ再突入するとき、極超音速流で飛行する機体前方には非常に強い衝撃波が発生し、衝撃層では高温となり、熱化学的非平衡流が発生する。高々度の再突入では気体の密度が極端に低く希薄流れとなるが、そこでは気体分子間及び気体分子と固体表面間の衝突回数が大変少なくなり、連続体を仮定した理論は適用できなくなる。  本研究ではこのような低密度領域で有効とされているDSMC法を用いて高度80kmをマッハ数30~40で飛行する物体周りの流れ場を解析した。流れのモデルは、純窒素の流れとし、電離、解離、再結合反応を含み、並進、回転、振動の3エネルギーモードを考慮した。また、融合衝撃層理論に基づく数値解析とDSMC法との比較検討を行った。
  • 極めて細長い物体の空力測定技術
    澤田 秀夫
    セッションID: 1F07
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    矢の飛翔に直接関与する空力特性を知るため、JAXA 60cm磁力支持天秤装置を用いて、直径10mm長さ750mmと極めて細長く、頭部のみが異なる2種類の軸対称物体の抗力、揚力、ピッチングモーメントを、風速7m/sから40m/sまでの範囲で測定した。その結果、円錐頭部を持つ極長物体では境界層遷移に伴う抵抗係数の急増、総流翼型に観られる低抵抗状態も観測できた。また、鈍頭円柱の場合には直径を基準長にしたレイノルズ数で5000から25000までの抗力係数は単調な依存性を示すことが確認された。計測データの合理性から、磁力支持天秤装置を用いることで、矢の様な極めて細長い物体の空力測定が可能であることが判った。
GS3-1 流体力学
OS8 Eulerian/Fictitious/eXtended FEM
GS4-1 数値計算法
  • 山田 知典, 吉村 忍
    セッションID: 1G08
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    流体構造連成解析における連成手法として逐次互い違い法,分離反復型解法,一体型解法の3つがある.このうち,逐次互い違い法は精度,安定性に劣るものの,コードの改変負担が低く,計算効率は非常に高い手法である.しかし,流体構造連成問題において逐次互い違い法を用いた場合,流体構造連成の強さによって時間増分を小さくすることで精度を高くすることが可能な問題と,流体構造間の連成効果が強く時間増分を十分小さくしても解が得られない問題がある.本研究では,後者の問題に対して逐次互い違い法を緩和することにより連成問題の解を得ることを目的とし,数値実験を行う.
  • 長谷川 恭子, 仲田 晋, 田中 覚
    セッションID: 1G09
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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      近年における形状計測装置の普及により,複雑形状をもつ物体の点群データが容易に取得できるようになった.さらに,その点群データを用いた曲面モデルの生成技術が急速に発展している.一方,点群の接続情報を必要としない数値解析手法として,近年メッシュレス法が注目されている.同法は形状計測装置により得られた点群を用いた解析に適していると考えられる.
      本研究では,形状計測装置を用いて取得した点群から生成される曲面モデルを想定し,これに基づくメッシュレス解析を行うことを目的とする.さらに,RPIM (Radial Point Interpolation Method) を用いた3次元メッシュレス解析の高速化を行う.
  • 劉 雪峰, 菊地 文雄
    セッションID: 1G10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    もっとも基本的な有限要素モデルである,0次および1次三角形要素について,その定量的な事前および事後誤差評価で必要不可欠な,補間誤差定数について解析した。関数が1次あるいは2次のソボレフ・ヒルベルト空間に属す場合に,その0次あるいは1次補間の補間誤差定数を特徴付ける固有値問題を設定し,三角形が特殊な形状の場合については,定数の具体的な値を決定できる場合があること,また,その上下界評価を三角形の幾何学的定数で与える式などを導いた。また,有限要素法を用いることにより,これら諸定数を実用的に十分な数値的精度で求める計算法と計算例を示した。ここで,有限要素法で得られるのは行列の固有値問題であるが,本問題では独特の制約条件が付くので,行列のスパースネスを損なわずに解く手法を考案した。また,理論的に導いた結果との比較も行った。なお,定数の数値が数学的に厳密に区間評価されている場合には,有限要素解の精度保証にも利用できる。
  • 小林 陽介, 矢川 元基
    セッションID: 1G11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    Free Mesh Method(FMM)は並列解析との親和性が高いことが知られているが、高精度化には様々な問題があった。しかし、最近になりFMMのための新しい高精度解析手法,Enriched FMM(EFMM)が矢川らによって提案された。本研究ではFMMの特徴を活かして、node by node的な並列処理を3次元FMMに実装する。そして、その技術を3次元EFMMに応用する。これにより、EFMMによる高精度解析の大規模化にアプローチする。尚、この大規模化とは消費メモリの削減によるものを狙いとしている。また、この解析はMPIによる並列アルゴリズムを実装し、PCクラスタ環境で実行している。
OS10-1 計算生体力学
OS10-2 計算生体力学
  • 山本 創太, 野田 真司, 田中 英一, 原田 敦, 奥泉 宏康
    セッションID: 1H06
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    大腿骨頸部骨折は高齢者転倒において頻発している.高齢者人口の増大につれ,患者数が急増しており,高齢者医療の最重要課題の一つとなっている.大腿骨頸部骨折の発生メカニズムの解明と骨折予防法の検討のために,日本人高齢女性のマルチボディ-有限要素複合モデルを開発した.このモデルは日本人高齢女性の体格を模擬したマルチボディモデルに詳細な形状の大腿部有限要素モデルを組み込んだものである.開発したモデルにより転倒シミュレーションを実施し,文献のボランティア実験結果と比較し,検証した.
  • 田原 大輔, 安達 泰治, 高野 直樹, 中野 貴由, 馬越 佑吉, 小林 章郎, 岩城 啓好, 高岡 邦夫
    セッションID: 1H07
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは,計算工学の分野で研究されてきた均質化法,重合メッシュ法を併用し,かつ,骨を構成する生体アパタイト結晶の配向性を考慮した海綿骨のマルチスケール応力解析手法を提案してきた.また,それを実現するソフトウェアの開発も行ってきている.これまでの研究では,実装した海綿骨のモルフォロジー分析機能をヒト椎体に適用し,骨内の板状と棒状の特徴的な骨梁構造を確認している.本研究では,分解能15.7umの高分解能X線CT画像に基づきモルフォロジー分析を実施した上で,X線回折による生体アパタイト結晶配向性の測定結果を合わせ,力学的見地から骨質評価を行った.また,ユーザの力量によらない信頼性の高い高精度マルチスケール応力解析を実施し,考察を行った.
  • 熱弾性応力解析と有限要素解析の比較
    鷲尾 利克, 水原 和行, 三島 初, 宮川 俊平, 兵藤 行志
    セッションID: 1H08
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    人工股関節置換後,骨折の原因と考えられる応力集中が発生することは好ましくない.本研究では,臨床手技により模擬骨内に置換した人工股関節を対象として,熱弾性応力解析と有限要素解析を用いて,人工股関節の設置位置と応力分布の関係を検証した.
  • 廣田 明宏, 田中 英一, 岩本 正実
    セッションID: 1H09
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    異方損傷を考慮した皮質骨の非弾性構成式の定式化を行った.この皮質骨構成式は,弾性係数の持つひずみ速度依存性,剛性や強度の異方性と引張・圧縮に関する非対称性,異方的な損傷の蓄積などの皮質骨の特徴を表現することができる.損傷状態を2階のテンソルで表すことで異方損傷を表現した.補足エネルギー等価性の仮説を用いて損傷効果テンソルを定義した.損傷テンソルの発展式を定式化して,異方的な損傷の蓄積を表現し骨折を予測した.この構成式の計算結果をヒトの皮質骨を使った実験結果を用いて比較検討した.
  • 山岡 英孝, 安達 泰治
    セッションID: 1H10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    アクチンフィラメントは,細胞の形態変化や運動において重要な役割を果たす細胞骨格の1つである.単量体アクチンの重合によって形成されるアクチンフィラメントは,ネットワークや束を形成するため,それらを連続体力学の枠組みでモデル化が望まれる.アクチンフィラメントには,アクチン分子の重合反応が繰返されるプラス端と,脱重合反応が繰返されるマイナス端が存在する.このアクチンフィラメントの指向性を表現するために,近年提出された連続体のdirect fieldモデルを利用した.本講演では,direct fieldを用いたアクチンフィラメントの連続場モデリングについて発表する.
OS18 地盤力学の計算手法
  • 村上 貴志, 村上 章
    セッションID: 2B01
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    地震時に発生する斜面災害は人命を直接的に危険にさらすだけでなく,長期に渡って交通機関などに影響を与えるなど,社会資本に多大なダメージを与える。そのため,事前に考えられる斜面崩壊ハザードを定量評価しておくことは,事前・事後の防災計画立案に有益な情報を与えると考えられる。本研究では,破壊現象に有利な個別要素法を用いて斜面崩壊のシミュレーションをおこなう。新潟県中越地震における斜面崩壊を参考に設定したモデル斜面をもちいてシミュレーションをおこない,個別要素法によって斜面崩壊ハザード評価の可能性と課題点について考察する。
  • 玉置 秀行, 青木 尊之, 森口 周二
    セッションID: 2B02
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    豪雨、地震および火山活動などによってしばしば斜面災害などが発生する。中でも土石流は毎年我々の生活に大きな被害をもたらしている。日本では宅地が危険斜面に隣接して位置することが多く、土石流に対する防災技術の発展が強く望まれている。そこで本研究では、防災への貢献を目的とし、粒子法の一つである個別要素法を用いて土石流シミュレーションを行った。岩石の複雑形状を粒子群により表現し、クォータニオンを用いて回転運動を正確に表現した。
  • 石川 達也, 関根 悦夫, 三浦 清一
    セッションID: 2B03
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    本研究は,繰返し荷重作用時のバラスト軌道の変形特性を解明し,鉄道線路施設の効率的な維持管理を行うために,道床バラストの材料特性を考慮したバラスト軌道の挙動解析法について検討した。その結果,道床バラストの累積ひずみ特性を考慮したFEM解析による道床部の繰返し塑性変形量の簡易推定方法を提案した。また,模型試験結果との比較検討から,提案した推定法の妥当性を検証し,累積損傷度理論を応用した場合,簡易な線形弾性解析でも道床の弾塑性挙動をある程度推定できることを示した。
  • 山川 優樹, 池田 清宏
    セッションID: 2B04
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    地盤材料の変形過程における弾塑性分岐は「拡散モード」と「せん断帯モード」とに大別される.拡散モードは,ビア樽型など供試体の全体的な変形形態を支配する.一方,せん断帯モードは,いわゆる「せん断帯」や「すべり面」に相当する.これらの変形モードは地盤材料の変形・破壊時には常に見られるものであり,地盤材料の力学特性を論じる上で,分岐問題としての取り扱いが不可欠である.本研究では,有限変形時におけるせん断帯分岐の発生条件の検討を行い,さらに不連続変位場の進展を運動学的に表現可能な有限要素法を用いて,拡散モードからせん断帯モードを経て局所化した状態に至る一連の変形過程を追跡した.
  • 石井 建樹, 京谷 孝史, 寺田 賢二郎
    セッションID: 2B05
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
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    岩盤などの非均質脆性材料の変形強度特性は,構成材料内部における亀裂の発生・進展や異種材料界面の剥離などの微視的な破壊現象と密接に関連している.本論文では,岩盤の強度評価を目的に,微視的亀裂進展を考慮したマルチスケール解析に基づく強度特性評価法を提案する.検証には,分布亀裂を有する石膏供試体の一軸圧縮試験を行い,提案手法によりその強度予測を行うことで,提案手法の強度評価手法としての適用可能性を示した.
  • 松島 亘志
    セッションID: 2B06
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、著者らによって提案された粒状体のマイクロメカニックス構成モデルを有限要素法解析に取り込む手立てについて述べるものである。用いる粒状体のマイクロメカニックスモデルは、粒状体の粒子レベルの構造情報(接触点弾性、接触点滑り、接触点方向角分布、配位数)に加え、力を伝達する粒子の柱構造の座屈を取り込む事により、砂などの実際の粒状体の弾塑性挙動に近い応答を可能にしたモデルである。ここでは、本モデルを有限要素法に組み込み、境界値問題を解く場合に必要な手続きや適用性、計算時間等について検討する。更に、構成則に含まれる微視的パラメータが、巨視的応答に及ぼす影響について検討し、本手法の有効性を実証する。
OS24 沿岸海域環境のシミュレーション
  • 潮汐の応答
    川尻 秀之, 郭 新宇, 鍵本 崇, 宮澤 泰正
    セッションID: 2B07
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
     独立行政法人海洋研究開発機構では、2004年度より、関東南岸の東京湾、相模湾、駿河湾及び伊豆諸島を含む海域を対象とした、高解像度の沿岸海況予測システムを開発している。黒潮などの外洋の変動を考慮したシステムの開発を目指しており、現在は、沿岸の海況を考慮する上で重要となる潮汐に絞った検討を進めている。 複雑な地形を高精度に表現するため水平解像度は1/108°とし、側面の境界条件は松本海洋潮汐モデル(松本ほか 2000)のアウトプットより主要4分潮(M2,S2,K1,O1)を内挿して与えている。モデルの予測精度を検証するため計算結果と観測結果との比較を行い、モデルが十分な予測精度を持つことを確認した。また、駿河湾と相模湾ではそれぞれ異なる周期の内部潮汐が卓越することがモデルで表現されていることも確認した。この海域における内部潮汐の主な発生源とされている伊豆海嶺上では、島の周りを中心に強い順圧潮流が発達しており、現在、内部潮汐の生成や伝播の過程に対する定量的な評価を進めているところである。
  • 郭 新宇, 王 強, 武岡 英隆
    セッションID: 2B08
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    渤海、黄海、東シナ海を対象とする数値モデルを用いて、渤海における黄河プルームを研究した。数値モデルは水平解像度が1/18度で、開境界条件の問題を避けるために、広範囲なモデル領域を有する北西太平洋モデルの入れ子モデルとして構築されている。月平均外力(風、河川流量、熱フラックス、潮汐)を用いて、この領域で最も卓越するシグナルである季節変動を再現してみた。本研究は黄河プルームの挙動に注目する。観測データとの比較より、モデルが渤海における水温と塩分構造の季節変動特性をよく再現していることを確認した。さらに、黄河プルームの挙動を支配する要因を明らかにするために、潮汐、あるいは風がない場合のモデル実験を実行した。潮汐がある場合とない場合の計算結果から、夏に潮流が低塩分水の東北方向の拡張に貢献し、冬に低塩分水の渤海からの流出を阻止することが分かった。また、風がある場合とない場合の計算結果から、夏に風も低塩分水の東北方向の拡張に、冬に莱州湾の南東部での低塩分水の出現に貢献することが分かった。最後に、多数の数値実験より、特に夏における黄河プルームの挙動の風と河川流量への依存関係を検討した。
  • 北澤 大輔, 多部田 茂
    セッションID: 2B09
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    閉鎖性内湾である東京湾を対象として、陸域からの物質負荷量の変化に伴う生態系の変化を数値シミュレーションにより解析した。数値シミュレーションモデルは、流体力学モデルと生態系モデルとから構成され、物理パラメータや生態系パラメータは、1991~1998年の平均的な水質観測結果を用いてキャリブレーションが行われた。また、陸域からの物質負荷量は、東京湾沿岸域の人間活動や今後予定されている物質負荷量の総量規制の情報をもとにして設定された。その結果、過去からの物質負荷量の総量規制は、東京湾の水質改善に効果を挙げたものの、依然として湾内の有機物濃度は高く、貧酸素水塊も広範囲にわたって存在することが示された。
  • 佐々木 淳, ラスミマスムアン タムヌーン
    セッションID: 2B10
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    富栄養化した内湾では貧酸素水塊による生態系の劣化が深刻である.この原因の一つは海底に堆積した有機分に富む軟泥からの栄養塩溶出による内部生産や有機物堆積による高いSODが考えられ,底質粒径の影響が大きい.環境改善を含め,今後の沿岸開発では軟泥域を低減していくことが求められ,施策の効果予測に用いるツールが必要である.そこで本研究では内湾における底質粒径予測を目的とし数値モデルを開発した.当モデルを東京湾に適用したところ,内湾スケールでは現地データを比較的よく再現できることがわかった.さらに底質空間分布の形成過程を分析し,波浪や流動による底面摩擦の影響,底質の再懸濁と再配置の重要性を考察した.
  • 村井 基彦, 木下 祐介, 山中 亮一, 井上 義行
    セッションID: 2B11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/18
    会議録・要旨集 フリー
    沿岸域の大規模な開発がその周辺海域の潮流,波浪,水質に多大な影響を及ぼしていることは明らかになって来ている.特に、沿岸域あるいは海洋空間への巨大人工物を設置はかならず周辺環境の変化を伴う.したがって,事前の数値シミュレーションによる検討にあたっては,設置される人工物周辺の局所的な変化と広域的な変化とを同時に検討する必要がある. そこで,本論文では,MEC Modelの静水圧モデルをベースに,重合格子法に基づき,簡便に全体領域中の任意の局所領域に対して,空間解像度を上げた格子モデルを任意の角度で重ね合わせ,両領域を同時に解析する流動解析モデルを提案する.本手法の有効性を検討した後,いくつかの適用例を示す.
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