山の科学
Online ISSN : 2435-7839
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  • 鈴木 啓助, 佐々木 明彦
    2026 年9 巻 p. 1-11
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    複数の雪渓を有する信濃川の上流域である上高地梓川流域において,積雪深が最大と考えられる時期に航空レーザ測量を実施し,無積雪期の地面高との差分から積雪深分布を求めた.2012年と2013年の冬期に測量を行ったが,両冬期とも梓川の右岸域,すなわち冬の季節風に対して風下となる槍穂高連峰の東側が,梓川左岸域よりも積雪が多い.梓川右岸域の圏谷地形部には積雪深が20mを超える範囲が広く見られる.全域の平均積雪深は,2012年が3.49 m,2013年が3.42 mと2%程度の差であるが,全域の最大積雪深は,それぞれ38.64 mと42.78 mと差異が大きい.2013年の最大積雪深が2012年を上まわるのは,雪渓が残る区域である.これは,2013年の方が2012年に比べて雪崩の痕跡が多く観察されることから,雪渓を形成するような多量の積雪は雪崩涵養によると考えられる.
  • 近年の冬は高標高域も暖かくなっていない
    鈴木 啓助, 佐々木 明彦
    2026 年9 巻 p. 12-18
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/15
    ジャーナル オープンアクセス
    中部山岳地域の高標高域における気温観測データから,年平均気温と季節平均気温の変動傾向を解析した.観測地点12ヶ所の年平均気温は,高温年や低温年が同時性を示している.中部山岳地域の高標高域では,年平均気温の地点間による年ごとの差異は大きくない.しかし,年平均気温の変動傾向は地点ごとに異なっている.地点ごとの年平均気温の上昇率とMann-Kendall検定結果のtau値は,各地点の年平均気温算出年数と強い相関がある.観測期間が長いほど,年平均気温の上昇傾向が弱く,観測期間が短いほど年平均気温の上昇傾向が統計的に有意である. 冬季平均気温についての変動傾向の解析では,上昇傾向も低下傾向も,すべての地点で統計的に有意ではない.一方,春季,夏季,秋季の季節平均気温については,多くの地点で上昇傾向である.各地点の季節平均気温変動のMann-Kendall検定結果のtau値と標高の関係では,冬季と春季の季節平均気温では統計的に有意な相関はない.1地点を除くと夏季と秋季の季節平均気温では統計的に有意な相関が認められる.夏季と秋季の季節平均気温は,標高が低い方が気温の近年の上昇傾向がより明瞭である.
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