軽金属溶接
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59 巻, 6 号
溶接技能関連 特集号
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論文
  • 丸野 瞬, 吉野 路英, 岩尾 祥平, 江戸 正和
    原稿種別: 研究論文
    2021 年59 巻6 号 p. 32-38
    発行日: 2021/06/16
    公開日: 2021/06/16
    ジャーナル フリー

    ラジエータ,コンデンサ,エバポレータ等の自動車熱交

    換器部材には主に Al-Mn 系合金を心材に,Al-Si 系合金

    をろう材として貼り合わせたブレージングシートが用いら

    れ,部材によって様々な質別の材料が使われる.熱交換器

    の製造はろう付によって行われるが,ろう付の安定性を確

    保するためには,いずれの部位でもろう侵食の発生を避け

    なければならない.ろう侵食は粒界に沿って進行すること

    が知られており1),ろう侵食を防ぐためには材料の結晶粒

    界の数を減少させること,すなわち結晶粒を粗大化させる

    ことが有効とされている.

    一方,例えば質別 O の材料をプレス成形してろう付す

    ると,特定の箇所で著しいろう侵食を受けることがある.

    この現象は低加工域のろう侵食と呼ばれ,成形による加工

    ひずみの少ない領域において,ろう溶融温度まで心材の再

    結晶が完了せず,亜結晶粒が残存することで生じると言わ

    れている2),3).

    実際に質別 O の材料をプレス成形によって製造する熱

    交換器部材には,例えばラジエータのヘッダプレート材な

    どがある.このような材料に低加工域のろう侵食が生じる

    と接合に必要なろう量が不足してろう付不良を招く危険性

    がある.このろう侵食を抑制するための金属組織制御の研

    究はいくつか行われている2)~5).例えば,山内らによる

    と,心材のろう侵食に影響する支配的因子は微細析出物の

    量と加工度であると報告されている4).しかし,再結晶挙

    動に影響すると考えられる晶出物や,微細析出物および加

    工度以外の諸因子の影響に関しては,詳細には明らかに

    なっていない.

    そこで,本研究では,晶出物および分散粒子に注目し

    た.それらの分布状態を変化させるために Fe 添加量およ

    び均質化処理条件を変量した材料を用いて,ろう付熱処理

    時の低加工域のろう侵食挙動および再結晶挙動に及ぼす晶

    出物および分散粒子の分布状態の影響を調査した.

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