電子キーボード音楽研究
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11 巻
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原著論文
  • 音楽的自律性と利便性
    森松 慶子
    2016 年11 巻 p. 3-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/04/10
    ジャーナル オープンアクセス
    電子オルガンを伴奏に用いたオペラ公演には、いく通りかの編成があるが、中でもピアノと電子オルガン1台ずつ、という編成は利点が多い。電子オルガン1台、あるいは複数使用する場合はオーケストラスコアをなるべく忠実に再現することが期待されていることが多いが、ピアノと電子オルガンの場合はむしろ、その編成として最も良い形を目指す、音楽的に自律性のある姿勢で臨みやすい。また、電子オルガンの多彩な音色と、打点のは っきりしたピアノの音質とが補完しあうことで、歌手にとってタイミングや拍がわかりやすく、音響全体としては効果的な演奏が可能になる。さらに、練習場所の確保や楽器の調達、ピアノ伴奏譜付きのヴォーカルスコアを共通の足場にしたスムーズな練習など、制作上の利便性も大きい。送り手にとっても、受け手にとっても、オペラをさらに身近なものとして楽しめるものにするために、ピアノと電子オルガンによるオペラ伴奏、というスタイルは貢献度が高いと考えられる。このスタイルは統計を見る限りでは、さほど広がっていないように思われる。電子オルガンの高等教育の場などで取り上げることも、ひとつの推進力となるであろう。
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