本實驗ニ於テ氷室内ニ組織ヲ氷上ニ保存スルコトニ依リテ
1, 酸素部位ハ腎臓ニ於テ4日目, 肝臓ニ於テ3日目頃マデ常態ト同様ニテ, 2週間目頃マデハ酸素部位ノ酸化力ノ減退ハ猶輕度ニシテ, 、17日目頃ヨリ稍々急激二變化シテ減退ス.
1, 還元部位ノ還元力ノ減退ハ2週間目頃ヨリ輕度二現ハル、モ, ちゑろいじん切片ニ於テハ既ニ5日目頃ヨリ甚ダ輕微ノ減弱アリ.17日目頃ヨリ減弱稍々著明トナル.
1, おきしだーぜ反應ハ腎臓ニテ4日目, 肝臓ニテ3日目頃マデ常態ト同様ニシテ, 2週間目頃マデハ猶相當ノ反應ヲ有シ, 17日目頃ヨリ減退著シク, 26日目頃ニハ腎蹄係部以外ニハ殆ド消失ス.
1, ぺるおきしだーぜ反應ハ核ノ酸素部位ニ並行シ17日目頃ヨリ減退シ, 26日目ニハ殆ド消失ス.
1, 超生體染色ハ腎臓ニテ約4日, 肝臓ニテ2日間ハ染色陽性, 更ニ腎臓ニテ6日目迄肝臓ニテ4日目頃マデ一程度陽性ナリ.
1, 嗜塩基性蛋自成分ハ酸素部位ト同時ニ消失シ, 嗜酸性蛋自成分ハ20日以後ニ輕度ノ減退アルノミナリ.
1, あるとまん氏顆粒ノ染色度ハ3日目頃マデ常態ト同様ナリ.其ノ後ハおきしだーぜ顆粒ト並行シテ消失ス.但シ臓器ノ氷上保存ハ寒冷ニヨル細胞ノ形態的變化 (核萎縮, 原形質ノ破壊等) ヲ強ク起スモノアリ, 腎臓ノ常態ニ於ル本顆粒ノ配列ハ氷上保存ニヨリテ窺フコトヲ得ズ.
1, 以上ノ如クニシテ組織ノ氷上保存ニ於ケル各染色顆粒, 及酸化, 還元力ノ消長ハ全ク孵室中ノ自家融解時ノ變化ト同軌ニテ, 只時間的變化ガ甚ダ緩徐タルノミナリ.但シ肝臓ト腎臓トノ比較ニ於テ, 孵室内ノ肝臓ノ變化ハ急激ナルニ氷上ニ於テハ腎臓ト同一速度ニテ進行ス.
1, 肝臓ノ超生體染色, 腎臓ノあるとまん氏顆粒檢索以外ノ實驗ニ對シテハ, 氷上ニ保存セシ臓器ハ3日目4日目頃マデハ常態ト同様ニ使用ニ適スルコトヲ知ル.
1, 前編ノ成績ト本實驗ノ結果ヨリ, 白血球顆粒ノおきしだーぜ, ぺるおきしだーぜ反應ハ同一元基ニヨリテ發揮サレ, 超生體染色トハ細胞ノ生體反應ガ摘出後迄超生Überlebenスル現象ニシテ, 其ノ細胞成分ガ生前ノ状態ト大差ナキ間保有サル、性質ニシテ, 恐ラク細胞ノ死前ヨリ死直後ノー定時マデ保有サル次第ニ普通ノ死後染色ニ移行スルモノナルベク, (移行像ヲ登見シ得) 死戦期ニノミ限ラル、特別ノ反應ナラザルベシト思考ス.
1, 氷上ニ保存スル組織ノ酸素部位ノ酸化力ハ, 死戦期動揺ヲナシテ24時問目ニ常態ニ復歸ストUnnaノ唱ヘタル事實ハ余ノ實驗ニ於テ著明ナラザリキ.

抄録全体を表示

以上余ハ通常血液凝固催進作用アリト論ぜラル、二三藥物ニツキテ實驗ヲ試ミタリ.之ヲ約言スレバかるちうむ塩ハ血管内注射後20分以内ニ凝縮力ヲ20%増加セシム.3時間後舊ニ復ス.凝固開始時間ノ短縮之ニ伴ブ.完了時間ニ影響ナシ.
げらちんノ凝固催進作用ハ凝固時間ニ對シテハ疑ハシ.注射後1-2時間ニ亘ル陰性期アリ.主トシテ第2期工作速度ノ遅延ヲ見ル.陰性期ヲ過ギテ凝縮力ノ増加アラハル.3時間ノ後32.8%ノ増加ヲ見タリ.
高壓食塩水ハ即時ニ効果ヲアラハセドモ, 1時間ノ後畧極點ニ達シ, 12.8%ノ凝縮力増加アリ.凝固開始並ニ完了時間ノ短縮ヲ伴フ.
あらびやごむハ第1期, 第2期工作速度ノ両者ニ對シテ良好ニ影響ス.凝縮力ニ對スル効果ハげらちんニ及バザレドモ, 陰性期ヲ有セズ, ヤ、永績的ナル貼ヲ優レタリトス.
之ヲ要スルニ急速ナル効果ヲ示ス點ニ於テかるちうむ塩及ピ高壓食塩水ハ他ノ物質ニ優越ス.サレドかるちうむ塩ハ第2期工作速度ニ影響スルコトナシ.高壓食塩水ハ作用要素ノ工作速度ニ對スル影響甚ダ良好ナレドモ, 凝縮カニ對スル効果ハかるちうむニ比シテヤ、劣ルモノト云ハザルヲ得ズ.あらびやごむハ他ニ比シテ特ニ甚シク優秀ナル効果ヲ示ズトハ考ヘラレザレドモ凝固時間, 及ビ凝縮力ニ對シテ良好ニ作用ス.げらちんハ急速ナル奏効ヲ望ミ難シ.特ニ凝固時間ニ關シテソノ作用良好ナラザレドモ3時間後ニ於テ凝縮力ニ對シ勝レタル効果アリ.

抄録全体を表示