抄録
非自殺性自傷行為(NSSI)は青少年において広く観察され、その既往が将来の自殺リスクを増大させることが明らかとなっている。NSSIは効果的な自殺予防対策の上で重要な現象であるが、NSSIに関しては科学的な知見とは矛盾する誤解や俗説も散見される。本研究では、NSSI に対する対人援助職の認識や態度を概観し、背景要因や実務に及ぼす影響について論じた。その結果、対人援助職の間でもNSSI に関する俗説が存在し、不適切な対応が行われる可能性があることが明らかになった。また、NSSI に対する否定的な態度の背景には知識不足や無力感が存在し、経験が長いほど否定的な態度が認められるという知見が報告される一方で、結果は必ずしも一貫していなかった。対人援助職に対する継続的なサポート体制や研修の必要性が認められるほか、ジェンダーや経験がNSSIに対する態度や認識に与える影響に関する実証研究の蓄積が求められる。