健常人男子9名にボルタレン
サポ
25mg, ボルタレン
サボ
50mg, およびボルタレン
錠を3 way crossover法に従って投与し, 忍容性ならびに生物学的利用性を比較するとともに, 尿中代謝物についても検討した.また, 特に本試験では, 一部の血漿サンプルを盲検化して測定し, 試験精度に検討を加え, 以下の結果を得た.
(1) 盲検血漿サンプルの測定結果を, 開鍵後のそれぞれに対応する非盲検血漿サンプル測定結果と比較した結果, それらがほぼ同じ値を示し, 本試験の採血, サンプルの取扱い, 測定等の試験精度が高いことが確認できた.
(2) いずれの薬剤を投与しても, 自覚症状, 血圧, 脈拍数, 平常体温および臨床検査に, これら薬剤投与によると考えられる異常は認められず, また, 同時に実施した便潜血にも異常は認められないことから, これらの薬剤の単回投与による忍容性は良好であることが確認できた.
(3) ボルタレン
サポ
25mgおよび50mg投与後, いずれもジクロフェナクは血漿中に速やかに認められ, 投与約1時間後に最高血漿中濃度 (C
max) に達し, 消失半減期は, いずれの用量とも約1.3時間であった.また, 血漿中濃度―時間曲線下面積 (AUC
0-24) およびC
maxは, 用量に依存した.
(4) ボルタレン
錠は, 投与後約3時間にC
maxを認め, その吸収に食事の影響が考えられたが, ボルタレン
サボ
25mgと比較すると, AUC
0-24ならびにC
maxに差を認めず, 消失半減期は約1.2時間であった.
(5) 薬剤投与後48時間までに尿中に排泄された未変化体および3種の代謝物の総排泄量は, 投与量に換算して約20~30%であり, 4'-hydroxy diclofenacがもっとも多く排泄された.
これらの結果は, ボルタレン
サポ
は吸収がきわめて速やかであり, 高い血漿中濃度が用量に依存して得られ, また, 忍容性も良好であることから, 急性炎症や急性疼痛に対して臨床上使いやすい製剤であることを示した.
本試験は昭和62年11月に北里研究所バイオイアトリックセンターにて, 実施した.
血漿中ならびに尿中未変化体および尿中代謝物の測定は, 日本医学臨床検査所バイオアッセイ事業部にて行った.
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