呼吸理学療法学
Online ISSN : 2436-7966
4 巻, 1 号
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原著
  • 玉村 悠介, 芝 寿実子, 松浦 道子, 錦見 俊雄
    2025 年4 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2025/03/21
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    目的:誤嚥性肺炎患者の心不全と低栄養がリハビリテーションアウトカムに与える影響を検証した。

    方法:後向き観察研究。対象は回復期リハビリテーション病棟を退院した誤嚥性肺炎患者144名(81±8歳,男性67.4%)。心不全指標はBrain Natriuretic Pep-tide(BNP),栄養指標はMini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)とした。リハビリテーションアウトカムはActivities of daily livingの改善効率を示すRehabilitation Effectiveness(REs)と歩行獲得とし,低栄養と心不全の併存との関連を検証した。

    結果:心不全と低栄養の合併群のREsは14.4±19.2%,歩行獲得率は19.4%であり,コントロール群(REs 58.9±20.3%,歩行獲得率85.7%)より有意に低く,BNP,MNA-SFはREsおよび歩行獲得に関連する独立した因子であった(いずれもp<0.05)。

  • 大場 健一郎, 川上 慧, 髙橋 精一郎
    2025 年4 巻1 号 p. 12-20
    発行日: 2025/03/21
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    目的:COPD患者の運動誘発性低酸素血症(EIH)が自律神経活動に及ぼす影響を明らかにすること。

    方法:対象は4週間以上呼吸リハを行い,かつ酸素療法を行っているCOPD患者29名。6分間歩行試験(6MWT)中の心拍変動を周波数解析により低周波領域(LF)と高周波領域(HF)を測定し,交感神経活動の指標をLF/HF,副交感神経活動の指標をHF/(LF+HF)×100で算出したHFnuとした。6MWT中の自律神経活動,SpO2,脈拍数を安静時から終了3分まで1分毎に平均化し,6MWT中のEIHの有無で各項目を2群間比較した。

    結果:自律神経活動は,LH/HFは歩行終了後の1分と3分に有意に高く,逆にHFnuは歩行終了後の1分と3分で有意に低い値となった。SpO2は歩行2分後からEIHが有意に低値となった。

    結論:EIHを呈するCOPD患者は歩行中の自律神経活動に影響を及ぼさないことが明らかになった。EIHは歩行後の交感神経活動の亢進に影響していると考えられ,これは6MWT中の脈拍数やSpO2の推移とは乖離している可能性が示唆された。

  • 木戸 孝史, 奥野 将太, 白土 健吾, 川満 謙太, 安田 学
    2025 年4 巻1 号 p. 21-31
    発行日: 2025/03/21
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,肺癌手術患者が当院で設定している術後2日間の歩行プロトコルを遵守することで,歩行自立日数および術後在院日数に影響を与えるのか検証することとした。

    方法:対象は2019年4月から2022年6月に当院呼吸器外科で原発性肺癌に対し,肺葉切除術を施行した連続症例とした。術後1日目に30m,2日目に300mの歩行可否により,遵守群と逸脱群の2群に分類し,歩行自立日数および術後在院日数に影響を与えるのか重回帰分析を実施した。

    結果:対象157名のうち,遵守群は98名(62.4%)であった。重回帰分析の結果,術後2日間の歩行プロトコル遵守は,歩行自立日数(β=-0.94, 95%CI:-1.54--0.33, p=0.003)および術後在院日数(β=-1.18,95%CI:-2.23--0.13, p=0.028)の短縮に影響を与えた。

    結論:術後2日間の歩行プロトコルを遵守することは,早期退院の一助になり得る可能性があり,術後理学療法や周術期ケアを検討する上で重要な指針となり得る。

  • 太田 幸將, 齋藤 洋, 杉村 裕志, 宮越 浩一
    2025 年4 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2025/03/21
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー

    目的:肺癌術後患者において退院時に同時測定した主観的(EORTC QLQ C-30 Physical function:PF)および,客観的(6分間歩行距離:6MWD)な身体機能が同様に生命予後と関連するか調査すること。

    方法:237名の肺癌術後患者を対象とした。術前,退院時の6MWDおよびPFを調査した。退院時の6MWDとPFを中央値で2群に分けKaplan-Meier解析とCOX回帰分析を適用し全死亡との関連を評価した。

    結果:男性が159名(67.1%),年齢の中央値は70歳であった。退院時の6MWDとPFの中央値(四分位範囲)は400(335-450)m,86.7(73.3-93.3)点であった。追跡期間は1396(1103-1828)日で,35名(14.8%)が死亡した。Kaplan-Meier解析で6MWD高値群は有意に死亡率が低かった(P<0.001)がPFは関連しなかった。多変量COX回帰分析において6MWD高値群はHR:0.30(95%CI:0.13-0.73, P<0.001)であったがPFは関連しなかった。

    結論:肺癌術後患者において退院時に取得した6MWDは生存予測と関連があったがPFの関連は認めなかった。

症例報告
総説
編集後記
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