目的:本研究の目的は,肺癌手術患者が当院で設定している術後2日間の歩行プロトコルを遵守することで,歩行自立日数および術後在院日数に影響を与えるのか検証することとした。
方法:対象は2019年4月から2022年6月に当院呼吸器外科で原発性肺癌に対し,肺葉切除術を施行した連続症例とした。術後1日目に30m,2日目に300mの歩行可否により,遵守群と逸脱群の2群に分類し,歩行自立日数および術後在院日数に影響を与えるのか重回帰分析を実施した。
結果:対象157名のうち,遵守群は98名(62.4%)であった。重回帰分析の結果,術後2日間の歩行プロトコル遵守は,歩行自立日数(β=-0.94, 95%CI:-1.54--0.33, p=0.003)および術後在院日数(β=-1.18,95%CI:-2.23--0.13, p=0.028)の短縮に影響を与えた。
結論:術後2日間の歩行プロトコルを遵守することは,早期退院の一助になり得る可能性があり,術後理学療法や周術期ケアを検討する上で重要な指針となり得る。
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