新大統領ハビエル・ミレイが行った省庁再編は抜本的なもので、選挙当時から省庁数の大幅な削減を声高に唱えていたとおり、政権を発足させた後に18省を9省へと縮小させた。省庁再編は今後の政権運営を考える上での重要な出発点であり、本稿では、ミレイ政権において省庁数を削減するという省庁再編はどのような意義をもつのかを考察する。具体的には、2つの視点から今回の省庁再編の意義を考えていく。
第一に、アルゼンチンで喫緊の課題である高インフレに対応するため、今回の省庁再編は歳出削減策の1つとして期待される。第二に、省庁再編は執政府内の権力構造を変えるものであり、自身の権力基盤を作る意義ももつ。しかし、いずれにおいても省庁再編が果たせる役割は限定的である。省庁数の削減は公務員数の削減や政策の整理をもたらすが、それによる歳出削減額は限られると考えられた。また省庁再編で旧勢力を追い出せたとしても、数が減った閣僚ポストには他党の人物が多く任命されており、ミレイは他の勢力と権力を共有する状態であるとわかった。