ペルーではデジタルウォレットの利用が急速に拡がっている。商業施設のみならず、街角の小規模商店や露店、バス・タクシーなどの公共交通機関、さらには公共料金や税金の支払いに至るまでデジタルウォレットでの決済が可能となり、多くの市民が財布や現金を持たず、スマートフォンひとつで日常生活を営むようになっている。
デジタルウォレットの普及を後押しした要因としては、スマートフォンで容易に送金や受取ができる利便性に加えて、コロナ禍におけるネットショッピングの拡大や現金授受への忌避意識の高まり、さらに決済手数料や端末導入費用が不要な点が挙げられる。
政府当局は関連法規の整備を進めるとともに、給付金や給与のデジタル支給、ウォレット間の相互接続など、利便性の向上に資する施策を展開している。また、デジタル決済の取引記録を監督し活用することで、税務および社会保障制度への包摂を促し、労働フォーマル化や財政基盤の強化へとつなげようとしている。
一方、近年ではデジタル詐欺の増加や金融・デジタルリテラシーの不足といった新たな課題も顕在化している。今後、デジタルウォレットを通じた金融包摂および労働フォーマル化を進展させるためには、こうしたリスクへの対策と金融教育の拡充も並行して進めていくことが不可欠である。
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