現在,高齢化社会への急激な進展にともない,寝たきりの老年者や障害者に対する介助への関心が社会的に高まっている.しかし,これと同時に障害者の看護にあたる人々の問題も浮かび上がっている.このような背景から,寝たきりの障害者の自立や介助者の労力軽減化のために,ベッドから車椅子・入浴・トイレなどへの移乗のための床走行式リフタや介助ロボットの社会的必要性は,ますます増大する傾向にある.本稿では,日本の老人ホームなどの住宅事情や日本人の体型に適した床走行式リフタの評価方法について提案する.まず,デンマーク製のリフタを日本の住環境にあわせて改良し,小型電動式リフタを試作した.つぎに,試作したリフタの構造的な安定性と使いやすさなどを,このような我々の提案した評価方法から,試作したリフタは,日本における病院や老人ホームなどでの介護に有効な移乗機器として使用可能であることがわかった.最後に試作した床走行式リフタに関する今後の課題を記した.
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